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Visit Report; 026 Domaine René Muré

Domaine René Muré

「Alsaceの造り手がすべて、そうなり得るべき、理想のDomaineの在り方」

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Clos Saint Landelin。
Alsaceワインの歴史の中でも最も古く、歴史のある畑である
7世紀にはStrasbourgの司教によって所有され、続く8世紀には「Alsaceの中でも最も素晴らしい選ばれた畑」と言う風に位置づけられた
特級Vorbourgの一部ながら、南向きの急斜面である
まさに「特級畑の中の特級畑」

         P1110153' P1110155'

石ころの多い粘土質石灰土壌の下に、Bajocien紀の砂岩質石灰岩とOligocène(漸新世)の礫岩質石灰岩の地質が横たわる。
土の色は、ブラウン色で、Bourgogneの土壌の色に近い(Bajocien紀はCôte de Nuitsのそれと同じ時代である)
そして興味深いことに、丘の上部の方が、土の色が濃く、下部は白い(Bourgogneとは逆)
恐らく、上部の丘にPinot Noirが、下部には白葡萄が植えられるのだろう

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剪定方法はGuyot DoubleとGuyot Simpleを併用する
収量は25-45hl/haという低い収量を維持するという
大きな企業だからこそできる、選択であり、大きな企業だからこそ、しなければいけない事である
樹々の状態は見た所、枝の数も少なく、5月に厳しくÉbourgeonnage(芽摘み)しているのが見て取れる
さらに、樹の高さは非常に低めに抑えられている
霜害の危険と、腐敗の危険よりも、強い凝縮感と、根の成長を重視したからこそできる徹底した仕事ぶりである

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それにしても、とても密な植樹法である
列間の幅が1mとして、樹間が幅が、0.7m程度しかない
これは約14000本/haの密植度になり、DRCクラスの高い密植度といえる
勿論、テラス式の畑ゆえ、実際の計算上ではそこまでの植樹数にはならないだろうが、
この巨大な畑は、万事が万事、すべてがこのような高品質思想のもとに整えられている

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工事中のパーセル。常に土地を改良しようとする決断が、高品質に繋がる

さて、Clos Saint Landelinというこの素晴らしい畑は、南Alsaceの中都市Rouffachに位置している
Domaine René Muréは、全部で25haという巨大なDomaineである
この有名なClos Saint Landelinも、この造り手が単独所有するMonopoleの畑なのである
そしてさらに特筆すべきことは、Domaine René Muréが所有する畑は、ほとんどが斜面となっている事実である
特級とまではかなくても、他の地方であれば、一級に値するかもしれない畑しか保有していない...
このすべてのキュヴェの驚くべき品質の安定感は、こうした所有する畑の質から裏打ちされているのだ


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最近ではネゴシアン業も始め、違うエティケットで売られる様になりますます勢いに乗っている

ー 醸造

赤ワインはすべて小樽で醸造する
樽会社はRemondを使用
新樽率は10%,40%,75%である

白ワインは大樽とステンレスタンク
古いコンクリート・タンクの中身をステンレスに改造して使用している
「コンクリート・タンクよりもやはりステンレス・タンクのほうが良いという結果になったからです」

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これだけ、小樽が並ぶカーヴもAlsaceには他とないだろう...

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旧式のコンクリート・タンクに見えるが、実は中身はすべてステンレスに変更されている。上手くカーヴの配置場所を活かした工事を行ったと言える


発酵期間はゆっくりと長めで、MLFも時折起こるという
SO2の添加量は 150-200g程度(Rieslingが最も多い)

一 試飲

ワインは有機農法で造られる
畑によってはまだ有機農法になっていないものもある(Gewürztraminer,Pinot Gris以外のClos Saint Landelin)
【表記順は、品種、畑名、アルコール度、ヴィンテージ、値段、とした。VTはVendanges Tardivesの略】

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Pinot Noir Côte de Rouffach 12.5% '09 13e: 赤く澄んだルビー色。フローラルな香りで、どこかChassagne赤を思わせる。かなりフレッシュで、柔らかい味わい。デリケートで、繊細。樽香は全く感じない。新樽率は10%。

Pinot Noir ''V'' '08 12.5% 23.5e;色は、紫がかったルビー。キャラメル、軽い焙煎香。赤果実も香る。果実味よりも、神経質なまだギスギスした酸が目立つ。味わいのプロポーションがまだまとまっていない様子。粘土質の特徴を強く感じる。新樽率は40%。特級Vorbourgの東斜面で、粘土質石灰に黄土の混じったドイツに似た土壌。「黄土は風によって運ばれる、細かい土です。表土面積は少ないのですが、重たいキャラクターを与えるのです」

Pinot Noir Clos St Landelin 13.5% '08 33e; 特級Vorbourgの南向き斜面、Clos St Landelin。"V"よりも粘土が少なく石灰の石ころの多い地質。赤果実、キャラメルの香りに、酸を連想させる、オレンジ、桃の香りが重なる。"V"よりもエレガントで、テクスチャーはとてもきめ細かで美しい。まだ閉じているが、素晴らしいワイン。75%新樽。

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よく整備されたテイスティング・ルーム。この部屋の窓からClos Saint Landelinが一望できる。

Riesling Côte de Rouffach '08 11.5% 8g/l(s.) 11.7e: ミネラリーで、最初はRiesling的特徴は隠れている。仄かにライム、レモン、レモンの皮の香り。スワリングによって、石油香的な香りが立ち始める。それにしても上品な香りだ! 軽やかで優しく味わい。酸味が、バランスよく、とても良い品質。

Pinot Gris Côte de Rouffach '08 13.5% 17.5g/l(s.) 11.7e; クリーンな澄んだ香り。ミネラルが強く、粘土質的なすこし雑味のある香り。さらに白桃の香り、そして後からすりおろしたリンゴの香りが顕われる。味わいはフレッシュでありながら、トロリとした喉を流れるバターを思わせる味わい。

Gewürztraminer Côte de Rouffach '08 13.5% 23g/l(s.) 11.7e; バラの香り。あとからライチの香り。上品な香り。味わいは少し色気に欠くかもしれない。

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DomaineからClos Saint Landelinの丘を眺める

Riesling Clos St Landelin '08 NC; 品種由来のレモンの香りに、バター的な香りも加わる。ネットリ感がアタックに残り、やや重い。冗長な酸で、伸びが少ない。少し、やり過ぎな印象。もう少し酸が欲しい。

Pinot Gris Clos St Landelin '07 13.5% 15g/l(s.) 18e: とてもミネラリーで、アーシーな香り。白桃の香りがとても上品に感じる。先のワインのCôte de Rouffachの粘土的な香りは少なくなっている。バランスがとてもよく、チャーミング。高貴な風格。

Gewürztraminerr Clos St Landelin '09 13.5% 44g/l(s.) 20e; バラ、ライチの統制感のある香り。とても長い味わいで、エレガント。 Côte de Rouffachよりも綺麗で、清楚なGewürztraminer(柑橘系のタイプではない)。

Riesling VT Clos Saint Landelin '01 40e: 色調は濃いめで、貴腐の混入を連想させる。石油香、飴、蜂蜜、レモン。バランスがよく、上品な甘さ。

Muscat(Ottonel) VT Clos Saint Landelin '05 11% 97.5g/l(s.) 33e: 蜂蜜、トロトロに焼いたリンゴ飴、オレンジの皮。脂っこさが強く、焼け付いたような味わいが強い。 収穫は10月17日。

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ー 総括

Pinot Noirの優雅さ、軽やかさ
香りはともかく、味わいの軽やかさは、近い土壌であるはずのドイツのBreisgau産のワインとは遥かに異なる(Clos Saint LandelinのみはBajocien紀の石灰でBourgogneに通じる)
ドイツのBaden地方のWeingut Bernhard Huber で見られた、Pinot Noirの骨格の壮健さがゴシック建築の様に喩える事が可能ならば、このRené Muréのワインのスタイルは、より丸みを持ち、軽やかさ、柔らかさを持ったロマネスク建築の様である
土壌ゆえではなく、醸造スタイルがよりBourgogne的であると言えるのかもしれない
フランス人が、フランス向けに造るからこそ、こういう味わいになるのだと感じた。
Badenがよりドイツにおいて最も南方であるからこそ市場は力強さを求め、Alsaceがフランスにおいて最も北方であるからこそ軽やかで、優美さが求められるのだ

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Pinot Noirがこれほど美味しいことは知っていたが、白ワインの品質も驚くほどであった
昔よりさらに洗練さに磨きがかかったように感じた(醸造所のレベル・アップのお陰?)

ワインの品格の良さ、そして第一アロマを出来る限り隠しつつ、品種、地質の性質を香りにのせた、この醸造スタイルは素晴らしいの一言に尽きる
「私たちは品種の味わいを出すことよりも、粘土質石灰岩のニュアンスを如何に引き出せるかということに念頭を置いています」

ほとんどの畑が、粘土質石灰質の、さらに丘地であるという、立地条件の良さがよく顕されている
単純に考えれば、この造り手はBourgogneに置ける特級と一級畑のみを独占しているようなものなのだろう
そしてさらに、ただ良い畑を所有することにのみ胡座をかくのではなく、惜しみない投資を継続している
この高い品質志向は、香りのクリーンさ、味わいの柔らかさを生み出す事に成功している...


良い料理を造る事ができるオーナー・シェフのレストランが良いとはかぎらない
真に素晴らしいオーナー・シェフは、レストラン全体隅々まで均等に統括できる、リーダーでなくてはならない
オーケストラの指揮者しかり、野球の監督しかり、映画監督しかり...
そして、醸造家もそうあるべきであり、Alsaceでその模範例となる、素晴らしい造り手がこのRené Muréである

René Muréは、Alsaceでも屈指の、Alsaceを代表する造り手に成長した

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[ 2011/02/12 05:32 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(5)

興味深い畑

勉強熱心でいらっしゃいますね、染谷さん。レポート、とても参考になります。

興味深い畑ですね。それにしても、テラス式でこの植樹密度。機械も手動しか使えないでしょう。かなりなコストです。ネゴスで経営を支えて、高品質高コストのワインを看板商品にする。優れた戦略だと思います。(羨ましい)。

畑もおっしゃる通り、良く手入れされていてアンビシャスな仕立てです。ただ、これだけ株が低くて、テラス式で南向き。熟成が早まりそうですね。うーん、面白いです。収穫前にこっそり、ここの葡萄を食べてみたい。いえ、冗談ではなくて。

あそうだ、SO2については、mg/l または g/hl という表記が必要です。瓶詰めされたものだったら、前者。醸造中(マストの段階)であれば後者が一般的です。老婆心でごめんなさい。せっかくのレポートなので、誤解が生まれないようにと思いました。

レポート、これからも楽しみにしております。
[ 2011/02/12 22:01 ] [ 編集 ]

ご指摘、ありがとうございます!

老婆心、痛み入ります
データは話して得た情報なので、もう一度確認してみます

仕立ての低さは、最近のブームみたいですよ
Laurent Barthのある区画のPinot Noirの仕立ての低さは異常で、Muréの剪定のさらに1/2程です
彼曰く、Jean-Michel Deissの南向き斜面の特級Mambourg(Pinot系各品種)でも同じくらいの高さだそう

さらに今日、Domaine Bott-Geylで働いている友人に、彼のPinot Noirの畑に連れて行ってもらったのですけど、高さはかなり低いです
Zind-Humbrechtもこれくらいの高さとか...
そのあとたまたま通りかかった、Jean Beckerの特級畑Froehnの畑もかなり低かったですよ

いずれも、Bourgogneより低いですね...
[ 2011/02/13 03:53 ] [ 編集 ]

お元気で何よりです。

 いやはや、耳にはしていましたが、こうしてフランスのブンチャンのブログを目にすると、文明の利器の凄まじさをまじまじと、感じます。 
 仕事の在り方、歩み方が嬉しいですね。ソムリエから、今度はそのワインの材料たる葡萄の栽培を研修するという、、どこまでも、極めていくその姿勢が、凄いし、、、
ホントうれしい。  ずうっと 楽しみにしています。どんどんたくましくやっていって下さいナ。 我が家も、ようやく、HP作りました。ブログも少し。のぞいてみてくださいナ。京都は、ようやく厳しかった寒さより開放されて、土曜日には母君と、金比羅山に行ってきました。山椿の実がふくらんできていました。春です。


 
[ 2011/03/01 00:05 ] [ 編集 ]

中津さんへ

どうもご無沙汰しています

猫達は元気ですか?
寒さにまいって家の中で丸まっている様子が目に浮かびます

仕事は、苦労してやるものではなく、楽しんでやるものとのモットーと、何事もとことんまで極めて見たいという強い好奇心が~なんだか猫みたいですね~、僕の中に続いています

また夏にお会いできる日を楽しみにしています
[ 2011/03/03 07:12 ] [ 編集 ]

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[ 2011/08/23 17:31 ] [ 編集 ]

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