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Visit Report;25 Domaine Weinbach - Colette Faller et filles -

Schlossberg。
この畑を前にして、この畑の前にある醸造所に赴いて、この畑のワインを、口にした時、
ただ理解せずには入れなかった。
この畑の持つ、神秘のオーラを―――。

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DomaineからみたSchlossberg「城塞の山」


Bourgogneの畑と同じく、Alsaceの畑には霊妙さがある
見るものを畏怖・異様の感にさせる、何か特有の気が漂っている
マグマの塊や、堆積した石灰といった、地質状の歴史だけの話では勿論なく、人が葡萄をこの地に植え、互いに共生してきた歴史が、やがて一体化し、自然の調和を得た末に生まれた姿に、神聖さが宿るのである

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花崗岩

Schlossbergは標高230-350mからなる急勾配の南向き斜面をもった特級畑である
KientzheimとKaysersbergの間にまたがる、80.28haの巨大な畑で、1975年に特級畑が認定された時に、真っ先に名前が挙る程、昔から名前の知られていた
ただし、この広すぎる特級畑の認可については、制定当時物議を醸したのも事実。

さて、この畑の偉大さの秘密の一つはその花崗岩(Granite)地質に準拠している
透水性に優れ、岩石の保温性質から、Rieslingに適するということは殊に知られている事実である

北はRorschwihrから南はRouffachへと石灰由来の地質が続く
これは太古の海がこの当りに広がっていた、その足跡である
Bennwihr、Sigolsheim、Kientzheimまで、石灰質やマールの混じった地質のあと、突然、太古の山が姿を現す。
実際に特級FurstentumのあるAttenbourgの小山とSchlossbergの小山の間にまたがる溝を越えると、突然、今までとは完全に異質の岩石が目を引く

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Altenbourgとその上は、特級Furstentum。ここまでは石灰質のゾーン。

花崗岩地層。
噴火しそうと地表近くの地面にまで達したマグマが冷却・凝固することによって生まれる地球上でも最も古い岩石である
地球上の至る場所で、発見することが出来るが、普通は地表に露出していないことが多い
BourgogneのCôte d'orでも、標高の高い場所でも発見できるし、Marange最南端でもこの地質ゆえに格付けが落ちる区画がある
実際のSchlossbergの花崗岩は、KaysersbergのMigmatites(ミグマタイト;花崗岩と片麻岩の欠片などによって構成された地質)、Thannenkirchの花崗岩からなる
「同じ時代に生まれた、全く同じ花崗岩でも、強い日差しによって風化することによって、Schlossbergの南斜面の花崗岩は脆く粉々になりやすくなっている」とDomaine Paul BlanckのJean-Marc Siegelは、他の花崗岩との違いを力説する
花崗岩の組成構造が分解するということは、その中に含まれていたミネラル分は、微生物にとって分解しやすくなる。石英(quarz)は粒状になり、雲母(mica)は鉄分とマグネシウムになり、長石(feldspaths)は粘土質を形成する。

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大きな岩盤もあるが、粉々に風化した花崗岩も多く見られる。

そしてこの特殊な花崗岩から傑出したワインを生み出しているのが、Colette Fallerとその二人の娘、CatherineとLaurenceである

全80.28haという超巨大な特級畑において、彼女たちは6haを所有し、そのすべてがRieslingである
さらに中腹の良い畑のみを厳選して造られるCuvée Sainte Catherineこそは、「AlsaceのMontracheti」と言っても良い、崇高な美しさを秘めている

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Schlossbergの花崗岩の山。彼方に見えるのはKaysersbergの村。

「11月25日のSainte Catherineの日に初めて収穫したから、この名がついたのですよ」
Colette Faller夫人は厳かに、そして誇らしげに言った
しかしすぐに、少し顔をしかめて、「もう、そんなに遅くに摘むことは出来なくなるでしょうけど。地球が温暖化しつつあることを実感しています。ただ一つの解決策は収穫日を早めることですね。かつては10月15日位だったのは、今では9月15日にまでなったのですよ」

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Domaine Weinbachは「ワインの小川」を意味する

我々が試飲の場に通された場所は、試飲所というよりは、貴族の館の応接間といった場所である
時が止まったかの様なアンティークを前に、Faller家の歴史の中に身をゆだねた

Domaineのある館の周りにはClos des CapucinsというClosに囲まれた5haの畑(マール・石灰)があり、すべての品種が植えられている
もとはCapucins派修道院の所有する畑だったが、他の地方と同じくフランス革命によって売りにだされた。
紆余曲折をへて、1898年、Faller兄弟によって購入されたのである
この素晴らしい畑のほか、特級はSchlossbergをはじめ、Furstentum、Mambourgを所有している
さらにFurstentum直下のAltenbourgにもGewürztraminerとPinot Grisを持っている

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Domaineの周りのClos des Capucins。Schlossberg直下だが、石灰とマールの土壌。Ammerschwihrの小山が午後になると早くから日陰になって、冷涼なミクロクリマ

創業者の甥であったThéo FallerがDomaineを引き継ぎ、ワインの品質改良に尽力した
Faller夫人の夫Théoが1979年に他界して以後、長女Catherineと次女Laurenceがそれぞれ、マーケッティングと醸造を取り仕切り、その素晴らしい仕事ぶりは、世界中から高く評価されている

Domaineは全部で29haという巨大な領地を持つ
従業員は12人。
1998年からビオディナミを試験的に実施し、2005年より全面的に行う
醸造は、60年ものの大樽のみでの醸造。
伝統的なスタイルのまま、ただ常により良いものを求めて、ワイン造りは行われる


ー 試飲

Pinot Blanc 14% '09: 梅やキルシュ酒の様な高貴な果実を微かに匂わせる。ひじょうにしっかりと厚みのある酸。コクがあり頑健なPinot Blanc。樽香的なニュアンスも微かに感じる。強いタイプの低収量で生まれるPinot Blancであろう。アルコールの高さがそれを証明している。

Riesling Schlossberg 13.5% '09; ミネラルの強さ。柚子風味の品種固有の強いアロマ。若すぎるゆえか、あまり主張しようとしない。花崗岩らしい、香水や、花のブーケを伴ったレトロオルファクションが口の中にしっとりと残る。

Riesling Schlossberg cuvée Sainte Catherine 13.5% '08; 響いてくるのは、きっと、ピアノの音色。RavelのPavane pour une infante defunte。つよいミネラル。採って、すぐさま絞った柚子のような、澄んだアロマ。柑橘の皮。今にも壊れそうな印象を受けるのに、力強いエネルギーが、味わいの底に隠れている。柔らかさと強さの表裏一体性。グレープフルーツの若々しい酸味が上品で、絶妙のバランスがある。Kastelbergとも、Sonneunhurとも、Deponcinとも、ましてや、Chevalier-Montrachetとも違う。奏でられる、高貴なこの香りは、他の畑には見られない唯一無二の個性。

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家族の思い出の詰まった応接間

Pinot Gris 14.5% '08: ミネラル。共通して感じる、スタンダード・キュヴェのミネラル感は、石灰質由来だと感じる。生のシャンピニョン・ド・パリ。さらにエキゾチックな果実(貴腐?)。味わいはフレッシュで、冷涼だが、香りのイメージから予期していたような味わいの伸び・複雑さは感じない。

Pinot Gris cuvée Sainte Catherine 14.5% '08: 身体は森林の中へと飛ぶ。苔やシダ、キノコの茂る森のアーシーで深い香り。とてもアロマティックだ。とてもしっかりとした味わい。酸・甘さのバランスが良い。素晴らしい村名格といった所。

Gewürztraminer Cuvée Laurence 13.5% '08; 彼女のGewürztraminerからはいつも、グレープフルーツのニュアンスを感じる。ライチっぽさは全くなく、よく熟れたマンゴー、干しアプリコットと、色彩とりどりの華やかな香り。そして香りの強さに負けない、円やかで、均整のとれた、味わいの体躯。柑橘類の皮や、スパイシーさからくる苦味が突出しないで、まとまっている。

Gewürztraminer Altenbourg 14% '07; 強いミネラルが、果実味に負けていない。蜂蜜、スパイス、アプリコット。軽やかで、優しい。Gewürztraminerがこんなにも大人しく、優等生のように振る舞えるとは知らなかった。まさに一級畑クラスのバランス。「常に酸がなくてはなりません。それが味わいを支えてくれるのですから」と、Colette女史

Pinot Gris Altenbourg VT 13% '03; とても複雑。キャラメル、蜂蜜。Colette女史は「イチヂクのロースト」と表現する、濃縮した葡萄の香り。深く色気の漂う、媚薬的な味わい。そう、甘さの持つ複雑さは、官能さを含んでいる。綺麗な酸が後味を締める。

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剪定は伝統的なGuyot Double

偉大なワインとは、何だろう?
何年間も、常に自身に問い続けていることだ
未だ答えは見つかっていない

誰もが100点満点をつける、八方美人な最も美味しいワインの存在性?
熟成しつづけることがその偉大さ?
高い高い糖度をなし得た、完熟した葡萄のみから造られるワイン?
極端にまで低収量にこだわり造られる、凝縮したワイン?

ジャーナリストがどんなに高評価したワインからでも、しばしばがっかりさせられることは、周知のことだ

しかしまた今回、Schlossbergを口にして、浅はかな迷いは断ち切られる
千年間にもわたり、見いだされ、尊び、賞賛されてきた、偉大とされる畑と、偉大とされるワインを、自身が目の前にした時はいつも、自分が頭を垂れてその事実を再認知するしかないということを知るのみなのである

Domaine WeinbachのSchlossbergは、花崗岩地質が持ちうる、最高のエレガンスをよく示している素晴らしい模範例である
Condrieuの優れた畑、Château Grilletや、Deponcinの丘、Cherryの丘、Vernonの丘といった畑ですら、これほど澄んだワインが生まれたかどうか疑問に思わせるような、純真な花崗岩地質のエクスプレッションを感じる

自然の神秘と、守り続けられてきた造り手の手腕に、ただただ感謝するのみである

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Mme Coletteと。古風の優雅さを持つ、聡明な婦人だ
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[ 2011/02/07 02:28 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(0)

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