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Visit Report;30 Domaine André Ostertag

「酸化を防ぐために亜硫酸を使った方が、より一層綺麗なアロマを残す事ができる。それは、そう、まるで月の光のようなものだ」 André Ostertag

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   MuenchbergからHeissenbergの丘を眺める。いずれもNothalten村を代表する畑である

Alsaceにはアーティスティックな造り手が多い。
ワインというものの芸術性をとてもよく理解しているからだ
Albert MannやMarc Kreydenweissなど多くの造り手が、各々のワインのラベルに画家を起用しているもその一例である
André Ostertagのワインのエティケットも例にもれず、Ostertag夫人が描いている
テイスティング・ルームには数々の絵画で飾られ、まるで美術館に入ったかのようである

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さて、芸術的な趣向の他にも、自分たちの職場の管理意識も非常に高いようである
Domaine内には近代設備を施したカーヴを持っている
温度調整が完備され、常に14度の室温が保たれるという
膨大なオールドヴィンテージのコレクションをその完璧なカーヴに安置しているのだ


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           「湿度がとても重要で、カーヴの温度が変化しないでいることがとても重要だ」

栽培に関してはビオディナミとはいえ、極端な自然志向ではなく、あくまでも理にかなったアプローチをとっている
軽いフィルターがけを行ったり、亜硫酸を添加することをはばからない
「Marcel Lapierreはよく知っているし、彼のワインも素晴らしいと思う。彼の古いワインには、素晴らしく感動させられたものだ。ただしその感動は、四本に一本の割合であり、残りの三本は劣化していることが多かった。こういうワインの在り方は私は求めてはいない」
「酸化を防ぐために亜硫酸を使った方が、より一層綺麗なアロマを残す事ができる。それは、そう、まるで月の光のようなものだ。ワインの味わいを失わないように、損なわないように、アロマを留める作業に亜硫酸が必要になる」
彼のワイン造りのフィロソフィーは、必ずしも芸術性のみに走っていないように感じる
理性的なワイン造りの在り方を決して捨てていない
そして誰からも賞賛されるワイン造りをモットーとしているようだ


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   Domaineの敷地内に植えられた畑で、一際目をひくのが、ワイヤーのなかった時代の伝統的な棒仕立てで植えられた畑。上空からみると陰陽の太極図の型になるという。この畑の真下に、最新の近代型カーヴが建築されている。

彼の信念として、長期熟成を目指したワイン造りというのがある。
今回テイスティングした、'88年がとても綺麗な香りと味わいを残していたように、亜硫酸の添加が重要なのだろう

「最近の若い造り手は亜硫酸を下げようという努力をしている。しかし行き過ぎはよくない。」

あくまでも極端な「自然」に走るわけではなく、中庸の立場でワインを造ろうとしている様子が垣間見れる

長期熟成を目指す上で欠かせない収量であるが、だいたい約40hl/haの割合であるそうだ
さらに昔はもっと少なかったそうだ
少なすぎて採算があわなかった時期もあったそう


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醸造長、Hubert Mattis。自ら改造した、特製の農薬散布用車と共に。畑になるべく重量をかけたくないという意図が見て取れる。

昔は、ボトリティス果を入れていたが、最近では、ボトリティス果の混入による、ワインのアロマの繊細さが殺されているような気がするようになった。ボトリティス果はワインの中のテロワールを殺してしまうという
だから近年の収穫は早めになっている

ちなみに近年のヴィンテージの傾向をAndréに聞いてみた
'10はリンゴ酸がとても多くて、その分MLFをすると乳酸が強くなりすぎる。乳酸が強くなりすぎたワインは、バター香が強く出過ぎて好みでないために、MLFの割合を抑えるように努めた
'09はとても強いヴィンテージ。暑いヴィンテージではあるが、'03のようにバランスを崩す事はなかった
'08は酸味の主張が強い。'09よりも弱いかもしれないが、熟成能力は申し分ない。

「MLFはもしも、ブドウが完熟していた場合は、起こっても起こらなくてもたいした違いはでない。古いスタイルのAlsaceワインやドイツでは、MLFはタブー視されているが、私は自然のまま為すようにしている。しかしMLFが起こりすぎて、ワインのアロマを損なうようならばフィルターをかけてそれを止めてやれば良い」

MLFに関しては、あまり肯定的ではないようである


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   Domaineの裏の自社畑


さて小樽はBourgogneのDamy社を使用している
樽が100種類あると言う
Pinot系品種(Blanc,Gris,Noir)は樽発酵、熟成
「Pinot Blancは第一アロマが少ないので、第二アロマたるカーヴでの高い仕事が必要」

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           最新型カーヴに安置された旧式発酵槽。ただし、これは飾りである。





Dégustation (en bouteilles)

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    不惑。壮年に達したAndré氏の言葉一つ一つには迷いがなく、自分のワイン造りについて自信に満ちあふれている。


Sylvaner V.V. '10: リンゴのキャンディー、よく熟した果実。グラマラスで、果実味を前面にだしたSylvaner。鋼のようなボディで、リッチに仕上がっていて、ガストロノミーなSylvaner。とても澄んだワイン。Frankenのワインに喩えるならば、Weingut Horst SauerのLumpのようなタイプ。

Riesling Clos Mathis '08; とてもフローラルで、澄んだミカンのジュース。上品なタッチで、柔らかいワイン。綺麗な酸が印象的である。柚子風呂から立ちこめる甘酸っぱい温泉街のイメージ。醸造長Hubert Mathisが所有しているRiveauvilléの畑から生まれるワイン。花崗岩とその兄弟に当る片麻岩に、粘土の混じった土壌。「最も古典的なRieslingに仕上がっている」

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         Clos Mathis。Ribeauvillé村のJean Sippの畑のすぐ下に位置している。


Riesling Fronholz '09; みかんの皮、スパイシー感。味わいの深さがあり、濃く、ネットリ感もある。とてもマッチョ。苦味成分を強く感じ、まだ安定していない。Epfig村のFronholzの丘の頂上部に当る。砂と石英の土壌。「素晴らしいヴィンテージで、今飲むには早い」

Riesling Fronholz '08: グレープフルーツ、より繊細なアロマ。もっとエレガントで、柔らかいタッチ。苦味もあるが、それが程よく感じられる。「石英はシレックスにも通じる面がある」という。

Riesling Heissenberg '08 ミネラルで、ミカンそのままのアロマ。複雑ではなく、雑味を取り払った、純な果実。ネットリとした味わい。Nothalten村の砂岩と花崗岩の地質。Muenchbergの横に聳えるもう一つの三日月の丘。

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   Muenchbergのちょうど南側にの谷間、Heissenberg

Riesling Muenchberg '09; ライム、スモーク、リンゴのボンボン。最も詰まった味わいと強靭さがある。閉じている。「このワインの強さは、'09のヴィンテージの特徴が非常にでている」

Riesling Muenchberg '08: ライムの葉、リンゴのボンボン、'09よりも香りの方が閉じている。味わいは柔らかく、繊細で、フレッシュ感が強い。

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   Muenchberg。OstertagはMuenchbergに数カ所パーセルを所持するが、ここはその中でも最も樹齢の高い畑(約110年)。

Pinot Gris Fronholz '08; 沢庵、リンゴ、バター香、樽香。キャラメルやヴァニラの味わいがあり、強く、神経質な酸味のワイン。小樽熟成で、新樽率25%。「Pinot Grisは酸味と糖分を探すのではなく、脂質を探す」

Pinot Gris Zellberg '08; リンゴ、オレンジのアロマだが、とても繊細。新樽率は先のワインよりも多いにも関わらず、全く樽香を感じない。ピュアだが、厚みのある、はつらつとしたミネラルの味わいは、Bourgogneの白ワインを連想させられてならない。素晴らしい完成度。Nothalten村のMuenchbergに接する東向き斜面の丘。粘土質砂岩質石灰土壌。小樽熟成。「Pinot Grisというのは第一アロマの少ない品種で、第二アロマの顕し方が重要だ」

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   中世から名声を誇ったZellbergの丘。隣のMuenchbergやWinzenbergとは打って変わってウーライト石灰の土壌である。


Muscat Fronholz '08; 甘いブドウの香り、オレンジの花。とても果実の厚みの強いワイン。青さが全くないのは、Musat d'Ottonel100%だからか。「Muscat d'Alsaceは好みではないので、すべて植え替えた。私が造っているのは、アロマティックなだけのMuscatではなくて、テロワールを顕したMuscatを造っている。15年は熟成できるMuscatだよ」MLFは行っていない。

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         Muenchbergの開花。

Riesling Muenchberg '88 ; ミネラルだが、果実がしっかりと残っている。レモンそのままの香り。太古のアロマ。味わいは深みがあり、森や土の印象が消えない。「ペトロール香ではない。私のRieslingはペトロール香がでないワイン造りをしている」

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   手前のボトルは新ラベル。'10から各畑ごとに異なったエティケットを採用することになった




葡萄畑の土壌


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Muenchbergの火山性砂岩。砂状になった地質が多い。砂地であるから排水性に富み、ワインは軽やかに、フルーティーになる。他のクリュと比べれるとすれば、Guebwiller村のKitteréやKessler、AndlauのWiebelsbergなどに近い性質を持つのだと考えられる。それらはいずれも、Rieslingに適しているとされる土壌である。

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Heissenbergの花崗岩。その周りは砂岩の欠片が散らばる。南のRodern村からずっと続いていたピンク花崗岩のあるゾーンの最も北の端にあたる畑。砂岩と混じった丘で、葡萄が熟しやすいようだ。同じような畑は、Ammerschwihr村のKaefferkopff。


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Zellbergのウーライト石灰。Côte de Nuitsと同じジュラ紀の地層であり、どうしてここのPinot GrisからBourgogneのChardonnay的なフィネスが得られるのが理解されうる。Pinot Grisは遺伝的にもアロマ的な意味からも、Chardonnayに近い品種である。


Conclusion

彼のワインにはよく煮詰めて、コンポートやキャンディーに仕上げた果実の香りがする
とくにオレンジ系の香りが顕著で、ワインの果実味を非常に大切にしている造り手なのだと見て取れる

強い果実とクリーンなプロポーション。
そしてあくまでも辛口なワインで、熟成も可能という、素晴らしい造り手である

     P1130305.jpg
     6月27日、Muenchbergの葡萄の状況。比較的ミルランダージュが見られる。
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[ 2011/07/18 00:32 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(0)

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