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Visit Report; 027 Domaine Schlumberger

「品質維持のための徹底したカーヴの管理」

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ステンレスタンク・ルーム

Domaine Schlumberger...
所有する畑は140haという、巨大な造り手である
計算上ではAOC Condrieu、Morey-Saint-Denis、Bonnezeaux、Chablis Grand Cruなどよりも大きな土地を所有することになる
さらに、すべての葡萄は自社畑で造られるもののみ

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Domaineの前

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Guebwillerの風景

Guebwillerという南Alsaceの中都市のほぼ唯一のDomaineであり、この地区最大の造り手である
Guebwillerには特級畑が四つある
Spiegel、Saering、Kessler、そしてKitterlé
それぞれの畑は、異なった地質と土壌を持ち、ワインの味わいに個性を与える
そしてDomaine Schlumbergerはこれらの特級畑をすべて所有している

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Spiegelは石ころ状の砂岩とマールを含んだ土壌   Saeringは砂岩の砂利と多くの石灰土壌

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Kitterléは地盤に火山岩、表面に砂岩        Kesslerは純粋な砂岩地質

Domaine Schlumbergerのホームページに載せられた地図
http://www.domaines-schlumberger.fr/publicmedia/original/124/45/fr/carte_schlum.jpg

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代々の造り手が厳しい斜面でのより良い仕事を行うための棚畑を建設・修復する作業を行ってきた。これは修繕される度に、その代の造り手のイニシャルを設置したもの。左から順にEric-Beydon,Ernest,Nicolas。NicolasがGuebwillerにやってきたのは1810年。実に200年間の歴史が石に刻まれている事になる

これらの畑で、やはり目を引くのはその砂岩の多さである
砂が堆積してできた赤紫色の岩石、Grès(砂岩)。
Vosge山脈の基本的な地質ではあるものの、ブドウ畑に露出しているの部分は思った程多くない
Alsaceでも最も多く砂岩地質が集中しているのが、このGuebwillerである
「砂岩に最も相応しいのはRiesing」と言われるように、繊細なアロマときめ細かなテクスチャーを持ったワインを生む地質である
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Kesslerは砂岩の宝庫

Domaine Schlumbergerを代表する畑は間違いなくKitterléである
Guebwillerに接する鋭く伸びた急斜面の丘。
傾斜度はAlsaceでも最も急なものの一つである
この畑から、激しい衝動的な個性を持ったワインが生まれる

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「Kitterléの壮観は、バビロニア王朝の空中庭園を想起させる」


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これほど高く急斜面な丘すべてに機械を入れる事は不可能で、その変わりに馬を使った耕作を行っている
もちろん、140haすべてのパーセルを補っているわけではなく、最も急な斜面を中心に行われる

栽培はビオディナミの理論をもとにして行われるが、まだ全部の畑で実践されるわけではない

ー 醸造

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醸造長 Alain Freyburger

醸造長、Freyburger氏にカーヴを案内してもらった
従業員は全部で60名という組織形態である
彼は大企業を支える、チームのリーダーとして、確固たる信念を持っていた
妥協を許さないマストの品質管理の意識を存分に感じた

最初に案内されたのはプレス・ルーム。

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一列になって四基安置された空気圧式プレス機             プレス機まで運ぶ為のコンテナ

まず収穫後に運ばれた葡萄は、移動式のコンテナの中に入れられる
最初に流れ出る葡萄の汁は、雑味が多いとの判断でまず捨てられる
そして四基あるプレスの中にいれて軽くプレスする

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      ↓ マストを重力で地下室に下ろし、その際に最大4種類の異なったキュヴェを造る
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最初にプレスしたマストは澱の濃度によって2~4つのキュヴェに分離される
つまり同じ畑のマストも、場所ごとに区分けされるのだ
100パーセル近くあるものを、約250キュヴェに分割する
場合によっては特級畑のキュヴェも、格下げされる時もあるという

凛とした角のとれた、特徴的なSchlumbergerのワインの味わいはこうして生まれるのだろう

その後デブルバージュは12-24時間行い、荒い澱を除く
発酵期間は短く3週間~2ヶ月
MLFも起こる時があるが、あまりそれは歓迎されない

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エレヴァージュ期間は非常に長く、全部で2年にも及ぶ(知りうる限りでこれほど長いエレヴァージュをするのはZind Humbrechtくらい)
まず一年間大樽で寝かされる
この間に、シュール・リー熟成して、澱の持つ成分を最大限に出す
バトナージュは行わないで、ウイヤージュは一ヶ月に一回の割合
その後、ステンレス・タンクに移す
この間に、ほとんどすべての澱は除去される
「ステンレス・タンクで澱を残したままにすると、不快な還元臭・メルカプトンが発生するのでよくない」

つまり一年間大樽での酸化的熟成を行った後、さらにステンレスタンクで還元的熟成を行うわけである

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Pinot Noirの80%は約5km北に離れたOrschwihr村のBollenbergの畑のものを使用する
赤い粘土質石灰の土壌のゆえである
Pinot Noir用のタンクは五基あり、野外で醸造される
ロータリー・ファーメンターも二基使用しているようだ


ー 試飲

【表記順は、畑名、品種、アルコール度、ヴィンテージ、値段、とした。VTはVendanges Tardives、SGNはSélection Grain Nobleの略】

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Pinot Blanc '08 13%: フローラルでしとやかな香り。そしてミネラルの骨格・立体感。とても長く、優しく、淡い。ネットリ感も少しある。良いPinot Blancの見本。

Pinot Gris '08 13.5%: 牡蠣の香りを感じさせるミネラル。レモン風味。とても穏やかなPinot Gris。キリッと引き締まった後味。西斜面「砂岩」の個性?

Gewürztraminer '07 12.5%: 花の香り。マンダリンのニュアンス。そして、果実のジャムっぽさもある。果実に反して、フレッシュ感と、化粧水のような軽やかさがある。軽い土壌?

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特級はすべて鑞でコルク上を固める

GC Saering Riesling '07 12.5%: ダイレクトにレモンの強い香りがくる。果実味はよく熟しているが、味わいはとても軽く、弱い。とても綺麗だけど、小さなワイン。暑い年をチャレンジしてみたい。AndlauのMoenchbergと同じく、少し石灰の混じった、砂質・シルト系土壌の個性。

GC Kessler Riesling '07 13.5%: とてもミネラルが強い。果実味がやや隠されている。とても繊細で、味わいに強く濃さが残る。味わいのグラマラスさは、香りからはとても予測できなかった。空気のように軽やか。好みのタイプだ。

GC Kitterlé Riesling '05 12%: 激しい第二アロマ。石油香など、鉱物性の香りが強くたっている。 とてもリッチで、少し信じられないような味わいの粘り気がある。後味長く、とても深い。そしてあくまでも辛口。このテロワールでこのアルコールの低さが信じられない(西斜面のお陰 or 発酵期間???)。

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Saeringは他の三つの特級と大きく異なる特殊な小山。石灰の多さから、海中の堆積作用によって生まれた場所なのだということが推測できる

GC Kessler Pinot Gris '04 12.5%: 湿ったキノコ、マンゴー、熟したエキゾチックな果実。とても複雑なアロマ。とてもエレガントで、高貴な味わい。品種のイメージを少し変えてしまう、軽やかさと繊細さ。トロリと口の中をゆっくりと伸びやかに流れるこの立体的なミネラル感は、ロブスターの素晴らしい伴侶になるだろう。

GC Spiegel Pinot Gris '05 13%; 少し硬い。リンゴの果実や、森のキノコの香りもあるが、アロマティックではない。しかし、味わいは良く熟した感があり、蜜のニュアンスが残る。

GC Kitterlé Pinot Gris '06 13%: リンゴのコンポート、タルト・タタン。森の香りは少なく、よく熟した香り。非常にグラマラスで、甘く、長い。ネットリ感が強い、典型的な特級Pinot Gris。

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Kessler

GC Kessler Gewürztraminer '05 13%: 葡萄、マスカット香。蜂蜜。甘さが残り、ほんのりと、柑橘類の苦味が味わいを締める。浮遊感のある味わい。

GC Kitterlé Gewürztraminer '05 13%: 葡萄のアロマ。マーマレード。Kesslerよりも一段と強さとキツさが加わり、濃厚。辛さ、苦さが口の中を締める。残糖も高め。

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Kitterléの下部にあるGrauwackesという名の火山岩。

Pinot Gris VT '08 12.5%: リンゴのジャム、甘いシードル、ボンボン。さわさわと甘くてフレッシュ。綺麗な酸で、しっかりとしている。

Gewürztraminer VT '06 12.5%: ライチを焦がした様な香り。マーマレード、マンダリン、アプリコット。とても複雑なのにとても統制がとれている。素晴らしいバランス。非常に完成度が高い。

Pinot Gris SGN '00 14%: 強いキノコのニュアンス、アプリコット。偽トリュフ的な妖しげなアーシーさが漂い始めた。強い甘さが、リキュールらしい喉ごしを生んでいる。しかし、味わいのバランスは少し崩れている。甘ければ良いわけではないのが残念。「夏が暑かった'00のSGNは難しい」という一例。

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熟成期間は大体10-15年くらいとの回答であったが、1940年代の古いボトルもまだ自社に保有されていて、未だ若さを保っているという
果実味は極力抑え、エレガントなミネラルを前に出す
キュヴェを分離して醸造することで、アルコール感や糖度を過剰に出す事を防いでくれる
よりバランスのとれたワインを生むことに成功しているといえる

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プディング状になった石ころを、Guebwiller市の周りの畑でよく発見した
太古の海に押し流されて、ゴツゴツした形状の角がとれてまん丸くなった綺麗な石ころだ
砂岩や、石英もあれば、石灰も丸い形になる

余分なフリーランジュースを捨て、澱の濃度ごとにキュヴェを変え、長い樽とステンレスで醸造された、このDomaineのワインは、このプディング状の石ころに似ている
丸く、隙がなく、そしてとてもクリーンなエクスプレッション
宝石箱にとっておきたいような純真な石ころ...

大量生産される美しい宝石たち...
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[ 2011/02/20 08:44 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(0)

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