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Bourgogne 2015年の畑の観察報告


Bourgogne 2015年の収穫が始まった。

          Vendenge!.jpg


Beaujolais、Maconでは先週から始まっていたようで、さらにCôte de Beauneでもチラホラ、収穫風景を見かけた。
2003年に次ぐ異例の早さである。年々、収穫の時期は早くなっており、今年のそれは温暖化の影響がはっきりと顕われたヴィンテージとなるようだ。

葡萄の熟度は素晴らしく、衛生面は完璧。成長速度は2011年のそれに、熟度は素晴らしかった2005年に近く、病気なしの2009年を思わせる畑のコンディション。ここまで綺麗な葡萄があると、素晴らしいワインになるのは間違いないと期待していても、「酸が足りない」というBeaune近辺の生産者の不安の声もある。

さて、今回も現地で見た葡萄のコンディションをリポートしてみることにする。

Bourgogne 2015年の畑の観察報告 8月30日、31日


Clos St J

Clos Saint-Jacques。Gevrey-Chambertinの中ではゆっくりと成熟している印象。しかし、期待のもてる葡萄。収穫は来週だろうか?

Clos Boussiere

Morey-Saint-Denisの葡萄。素晴らしいコンディション。この写真のように、今年の葡萄は病気が一切無いが、一部の Morey-Saint-Denisはウドンコ病の被害を受けたようだ。さらに、強烈な日差しで、葉が強制的に枯れ始めていたのが多く見られたのもこの村。

Bonne Mares

Chambolle-Musigny側の Bonnes Mares。良く熟した葡萄だが、乾涸び始めているのも事実。収穫時の選果が必要だ。除葉を沢山しすぎた生産者にとっては不利なヴィンテージ。

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          Romanée-Conti。偉大なヴィンテージ?

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La Tâche上部の今年新しく植えたパーセル。かなり長い間(記憶が間違いでなければ10年近く)、植樹しないで、地力の回復を待っていた場所である。

Cerisiers.jpg

最も美しい畑を堪能できたのが、Nuits-Saint-Georges。小振りで、よく濃縮した、果実味たっぷりの素晴らしいPinot Noir。

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          よく熟したCharlemagne。期待の持てる果実味のCorton。

Clos des epenots

そして、今年はようやく。ここ数年、雹に祟られたPomardにあって、待望の Great Vintage。隣のVolnay共々、素晴らしい熟度である。収穫が少しずつ始まっている。それは火曜日の夜から降雨予報があるため。(定休日給与の発生する)日曜日に関わらず、収穫を行うのは、今年こそ、収穫量を確保したいという意思の現れか。

          Meursault P

これだけ葡萄が熟し、乾燥した日が続くと、次に不安なのが、喉を渇かせたイノシシたちの被害。ここMeursault Perrièresでもマットを張って対抗しているが、果たして収穫までに食べ尽くされないかどうか...。

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Puligny-Montrachet Premier Cru Pucellesの収穫。火曜日から雨の予報があるから、それまでの収穫を敢行。これだけ熟した葡萄に、雨が降ると、一気に灰色カビが蔓延するリスクが高まるからだ。

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おなじくPuligny-Montrachet Premier Cru Pucellesの葡萄。今年は非常に綺麗だから蔵で選果する必要がない、そう。

          Chassagne Tete de clos

          Chassagne-Montrachet Tête du Clos。ジューシーで、クリーン。

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こんな Bouzeronはいままで見た事がない! ただでさえ強すぎるAligotéの酸味がほとんどなく、非常に熟している。期待のもてる状態!

          Mercurey.jpg

今回もCôte de NuitsからChalonnaiseまでつぶさに畑を見て回ったが。今年のように、ほとんど病気がなかったのは始めて。ここMercureyの葡萄もとても綺麗でチャーミング。


今週からの天気予報。...Côte de Beauneは来週までに収穫を終わらせるような印象である。

8月29日(土) 快晴
8月30日(日) 快晴
8月31日(月) 快晴
9月1日(火) 雨予報 ビオカレンダー的適正日
9月2日(水) 晴予報
9月3日(木) 晴予報
9月4日(金) 晴予報
9月5日(土) 晴予報
9月6日(日) 雨予報
9月7日(月) 雨予報

なにはともあれ、全生産者の健闘を祈りたい。
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[ 2015/08/31 10:50 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)

Bourgogne 2014年の畑の観察報告

今年も慣例のBourgogneにおける収穫前の訪問を敢行した。

またもや、雹の被害が北と南で見られた今年。
これだけ毎年のように被害が続くと、'90-'00年代は非常に運が良かっただけなんだ、と再確認せざるをえない。
ワイン生産とは、過酷な自然に振り回される農業であると痛感するのである。

今年のBourgogneの天候を見てみよう。
温暖な冬。
3-4月と順調な芽吹き、早い成長。
5月に少し気温は落ちるも、6月に持ち直し快晴が続き、開花はスピーディーに進む。
その後、6月後半に再び雨がちとなる。
しかし6月28日になって、雹がCôte d'Orを襲う。被害は広域にわたるが、深刻な被害は Beaune,Pomard,Volnay,Meursault,Puligny-Montrachetにかけての一級畑が集中するエリア。山地やCôte de Nuitsの被害は微小(Nuits-Saint-Georges,Vosne-Romanée,Clos Vougeotが他に比べると多い)。
7月-8月と日照時間は少ない状況。

さて、今年の葡萄の状態は...


Bourgogne 2014 ( 31.08 - 01.09 )


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Clos des Ruchottes. すでに赤みがかっている...。でも糖分は...。

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Griotte-Chambertin. 今年は病気対策のためか、エフイヤージュを多くする作り手が多い。

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Clos de Tart 非常に良い状態。去年よりもずっと甘い。楽しみだ。

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          Amoureuse 南端から二つ目の畑。 色調濃い葡萄!

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Clos Vougeot Maupertuis側. 例年よりも悪そう。雹の影響だろうか。Côtes de NuitsではClos VougeotとVosne-Romanée近辺が少し酷い状態であったようだ。

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Chambolle Combe d’Orveau。 このラインは既に葉が変色しだしている。なのに、糖分は伸び悩んでいる格好。

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RC。少し心配な状態。この畑で腐敗果を見たのは珍しい(耕作しすぎ?)。

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Nuits-Saint-Georges Damodes。綺麗な酸味、甘さ、衛生状態。かなり期待できる。

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Nuits-Saint-Georges Clos de la Maréchale。 畑の状態に比べ、異常に葡萄の房が少ない。夏の間にグリーンハーヴェストを敢行して、熟さない房を除いたものだと思われる。

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Corton Charlemagne。去年、深刻な雹害があった場所。しかし今年は被害を免れたようで、至って健全。しかし、熟度は全然足りない。

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Beaune。雹によるかなりのダメージ。収穫ができない可能性もある。

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    Pommard。去年に続く雹の被害。ダイレクトに雹にえぐられた葡萄の房が沢山みられる。

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Meursault Tesson。雹害ひどい。傷ついた実から腐敗菌は繁殖しはじめる。だから、有機農法の作り手はかなりの厳しい結果を強いられそうだ。

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Meursault Perrières DessusのCoche-Duryの畑。ほかと打って変わって非常に綺麗。ここだけ雹を免れた?

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Puligny Clavoillon。 雹害。北と南で被害が分かれ、南の方が状態が良いのは例年の如し。あと、村名格よりもBourgogne格の方が被害が少なそうなので、品質が逆転するかもしれない...。

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Montrachet Leflaive。素晴らしい。この畑の周りには光のバリアでも張っているのではないかと、毎年思うのだが、雹の被害は少ない。特級の畑は、土壌の力だけでなく、数百年かけて天候の状態も熟慮して選ばれたものであると、再確認。

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Saint Aubin En Remilly。 雹害なし。この村の畑は毎年、クリーンで綺麗な酸を持っているのは、雹が降りにくい場所柄だからなのだろう。

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Criot-Bâtard-Montrachet。この年で最も偉大な白ワインは、この葡萄かもしれない。

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Chassagne-Montrachet Caillerets。 クリーン。この村はまたしても深刻な雹害を免れた模様。

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Chassagne-Montrachet La Cardeuses。 Nuitsの Pinot Noirよりも良さそうだ。

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          Rully。被害なし。逆に熟度が高すぎて、腐敗がチラホラ。収穫は近そうだ。

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          Mercurey。雹の害はなさそう。房の成長も順調。



去年に続き、雹に祟られた今年のBourgogne。
収穫量は少ないにも関わらず、世界中のBourgogne買いの需要は高まるばかりである。
Bourgogneのワイン商が品薄だ品薄だと言っていたが、価格の高騰は免れないだろう。
だから生産者たちは、収穫量を延ばしたいと望むようになり、収量を増やそうとする。
その状態で受けた雹の害は甚大である。
只でさえ濃縮感のない葡萄に、腐敗を恐れて前倒しされる収穫が始まるとすると、ワインの糖度が十分確保できるはずがない。
Pommard,Volnayなどの畑は3年連続の酷い雹害。葡萄の樹が疲弊しているにも関わらず、またこの被害である。もうここ数年は、良い収穫は望めないかもしれない。

しかし悪いことばかりではない。
少し雹が降ったとはいえ、Marsannay,Fixin,Gevrey-Chambertin,Morey-Saint-Denisなどは至って健全な状態。
Chassagne-MontrachetやSaint-Aubin、Santenayも悪くない。
むしろ今年は、Côte Chalonnaiseのようなマイナーな産地の方が期待が持てる様子である。


今年の収穫が今週からはじまると聞いた。
生産者と収穫人たちの健闘を心から祈りたい。


[ 2014/09/08 19:23 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)

Bourgogne2013年の畑の観察報告

今年も葡萄の状態を見るべく、9月8日から9日にかけて、Bourgogneを回った。

報告では、春の時点からすでに畑のコンディションはあまり芳しいものではなかった。
Côte de Beauneにおける、5月後半の雨(酷い畑は浸水した)、7月前半、Côte Charonnaiseも豪雨。7月後半にはCôte de Beauneにおいて雹が降って、さらに収穫量が減少。二年連続で雹に見舞われたセクターもあって、かなり悲観的な報告が多かった。
そんなネガティブな印象をもって、Bourgogneに出向いたわけだったが...。



Griotte.jpg


Griotte-Chambertin。とても綺麗な状態。まだ完熟していないから腐敗がなくて当然と言えば、当然なのだが、正直ここまで衛生状態が良いとは思ってもみなかった。酸味と果実味が素晴らしい。ベト病が少しあるようだが、被害がでるほどではない。


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Morey-Saint-Denis Premier Cru Montlouisant。例年にくらべて、熟度が低く、元気がない。うどん粉病の兆候もある。Nuitsの白は、赤ワインに比べてイマイチな感じ。

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Clos de Tart。とても健康的。まだ色付きが終わっていない房もチラホラあり、これからの天候が、品質に大きく作用するだろう。

           Amoureuse.jpg


Les Amoureuses。少し水膨れしているのは、この前日に雨が降ったからだが、葡萄自体がそこまで水っぽいわけではなかった。今年は、多くの畑の樹が、赤く変色していた。鉄分不足が原因だろう。

Cros Parantoux

Cros Parantoux。ここの葡萄は毎年、果実味が強くて美味しい!

           RSV Leroy

Romanée-Saint-Vivant。ここも生育が遅れている。これだけ成長が遅いのは実に約30年ぶりである。

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R.C.。成長が遅れてはいるものの、とても美味な葡萄である。D.R.C.は、エフイヤージュをしないにも関わらず、いつも衛生状態が良い。人が畑に入っている回数が非常に多いのだと感じる。

Clos Foret

Nuits-Saint-Georges PC Clos des Forêt Saint-Georges Monopole。いつもこの畑では、葡萄の樹によって房の数がまばら。

           Corton Ch

今回の訪問で、一番被害があったのは実は、Corton-Charlemagne Grand Cruだった。丘の上よりも下部の方がダメージが大きい。

Pommard.jpg

Pommard Clos des epeneaux。この地区の赤はあまり芳しくない。雹害による物理的な被害は思ったよりも少なかった感じだったが、葡萄の成熟をかなり狂わしてしまっている。外傷よりも、多すぎる水分が問題なのだろうか。

Tesson Bouzer

Meursault Tesson。雹の被害は丘の下よりは少ない? うどん粉病の兆候もチラホラ。

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Meursault Perrières。雹害は Savigny-lès-Beauneから Meursaultまでと聞いていたのだが、ここ Meursault、特にChardonnayはまだそこまで酷い状態ではない様子である。

Puligny Demoiselles

Puligny-Montrachet PC Demoiselles。Montrachetの横の畑。非常に小粒で、甘い葡萄。かなり期待の持てそうな出来であった!

           M Ramonet

Montrachet中央部。この造り手は毎年、クロロースが多い...。

M Lafon

Montrachetの最南端の畑。昨年は、破裂した実、うどん粉病、べと病、クロロースと非常に病気に悩まされていた畑だが、今年は打って変わってかなりクリーン。Good Vintageの予感すらある(これからの天候次第!)。

           Criot Lamy

Criot-Batard-Montrachet。まだ甘くないけど、酸味が美味しい。とてもクリーンな状態。

Clos St J

Chassagne-Montrachet PC Clos Saint Jean rouge。意外と去年よりも成長が早いのでは? と思う Chassagneの赤。昨年より健康で、甘い葡萄。

           Caillerets Blain

Chassagne-Montrachet PC Caillerets。去年よりも綺麗。ミルランダージュ(結実不良)した実は去年より多い気がするが、去年より健康的に見えるのは、まだ腐敗する段階まで葡萄が熟していないからだけなのだろうか? 収穫期にもう一度、畑に来ないといけないのだろうか、と少し不安になった。


Mercurey rg

Mercurey PC Clos Saint Martin。非常に甘い Pinot Noir。Côte Chalonnaiseは今年も期待が持てそう!



意外というか、思ったよりも畑の状態が綺麗でビックリした。
話に聞いていたほど、壊滅的な印象はまるでない。
確かに雹の被害はあった。BeauneやPommard、Volnayでの収穫は絶望的だとある生産者は言っていた。
しかしそれなら、去年も酷かった。その前の年も、さらにその前の年にも、Meursaultなど問題のあった村はあった。
ただやはり今年の特異性を挙げるとすれば、それは葡萄の成熟の遅れである。
Chablisの収穫は2014年になるのではない? と冗談好きの生産者が言うほど、葡萄が熟していない!

結局の所、9月28日からCôte de Beauneの収穫がはじまり、その次の週からCôte de Nuitsの収穫が始まるという(一部の生産者は既に収穫を開始している)。
今週からの一週間の天候がワインの品質に左右すると感じる。
晴れが続けば、Good、これ以上雨が降れば、腐敗が始まる...。

今回の観察で痛感したのは、やはり、遠くから聞くよりも、見に行ってから出ないと、真相はわからないと思った。
悪い悪い、と聞いていたからこそ、コンディションの良さが、非常に驚かされたのだ。
百聞は一見に如かずである。

[ 2013/09/24 04:28 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)

Bourgogne2012年の畑の観察報告

2008年に、Bourgogneに赴いた時から、ある決意が私の中に固まった。
毎年必ず、この地の畑の状態を観察しようと決めたのだ。

ワインという液体は、それぞれの産地におけるミレジム(ヴィンテージ)の特徴をボトルの中に封したものである。
だからこそ、年ごとの葡萄の成熟・衛生状態を知ることは、ワインの味わいを知るために必要不可欠であると感じたのだ。
雑誌や、ワイン本に書かれたヴィンテージ・チャートの意味・もしくは、そこには書ききれなかった事実を、自分の目で見たいと思った。

去年と同じく、Bourgonne の Côte d'Orの畑をつぶさに観察したレポートを届ける。
2012年の9月2日と、3日の二日間をかけて、畑を廻った。


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 Meursault Tessonの畑。丘の上の畑。雹害によって、破裂した実や、ウドンコ病、ベト病に冒された木もちらほら。まだまだ成熟していない。色付きが終わったばかりの房が多い。


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Meursault Premier Cru Perrières の丘の上の畑。イノシシ除けマットが敷いてあった。

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Meursault Premier Cru Charmes、Puligny寄りの畑。恐らく今年最も厳しい雹の害を受けたセクター。この畑は、毎年成長が早いにも関わらず、今年は成熟の遅れが目立つ。

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Montrachet中央部の畑。今年はクロロース(黄疸)の発生も多かったようだ。普段、耐性のある造り手の畑や、なりにくい Pinot Noirの樹からもチラホラ、クロロースが発現していたのは驚いた。

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Montrachet、Domaine Leflaive。Montrachetと言えども、雹の被害は受けている。しかし、雹の被害の割に、傷ついた房が他の畑より少ないような印象をうけるのは、造り手が何か特殊な努力をしているのか、畑自体が神秘的な防壁で守られているのか?

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Montrachet、Chassagne寄りの畑。Côte de Beauneで雹の被害があったのは、Ladoixから、Chassagne-Montrachetの最北部まで。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru Clos Saint Jean。今年の Côtes de Beaune地区のPinot Noirは成熟がかなり遅い。これは雹の所為ではなく、陽光の少なさによるものである。もしかしたら生産できないかもしれない、とはある生産者の弁。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru Caillerets。毎年思うのだが、Chassagne-Montrachetの衛生状態は常にPuligny-Montrachetよりも綺麗である。有機農法生産者が少ないことがその理由かと思っていたが、それだけではない。5年間の観測からの推測にすぎないが、雹害に遭いにくいというクリマが作用しているのだと思う。

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Santenay Premier Cru Gravières, Domaine Lucien Muzard。畑を全面改植。二年前の大雹害が理由なのだろうか。それにしても、最高の自社畑の一つを、部分的ではなくすべて植え替える決断をするというのは凄い。

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Santenay Premier Cru Clos Grand Rousseau。今年のSantenayは雹害こそ少ないものの、成長が遅い。葡萄は非常に酸味が高い。

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Bouzeron。去年よりも遥かに綺麗な衛生状態。Aligotéにとって良いミレジムと言えるのかも知れない。

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この畑、Rully Premier Cru Grésignyに来れたことは非常に嬉しかった。昨年の雹害がこのセクターを滅茶苦茶にしたのを目の当たりにしていたから、そんな被害を受けた次の年も葡萄がスクスクと無事に育ったことを確認できた。はっきり言うと、今年のChalonnaiseはBeauneよりも良いコンディションである。

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日付と場所は変わる。今度はGevrey-Chambertinから南下。この畑はPremier Cru Clos Saint Jacques。成熟の遅れがあるが、Beauneほどではない。この村も少し雹害を受けたそうだ。

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Morey Saint Denis Premier Cru MontluisantのChardonnay。この畑の去年の成熟状態は素晴らしかったが、今年は少し遅れているようだ。

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Clos des Lambraysの房。色付きしていない粒と、乾燥(濃縮)した粒の混じる不思議な光景。Morey-Saint-Denisの成熟度はほかよりも早いようだ。

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Musigny Grand Cru。まだ葡萄は健康であるが、最後の最後で衛生状態がどうなるかはなんとも言えない。

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Clos Vougeot、Domaine Laurent。毎年のことながら、良好な成長をとげている。

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Clos Parantoux。この畑の葡萄の味わいが好きだ。いつも、何か他の畑とは違う深く甘い果実味を感じるからだ。

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Romanée Saint Vivant, Domaine Leroy。美しい酸味、エレガンス。平年どおりの低収量。今年最も天候に恵まれたのは、おそらく、ここ、Vosne-Romanéeである。

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R.C.

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R.C.

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毎年ながら、この畑の葡萄の成熟度の早さには驚かされる。La Tâche。

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Nuits-Saint-Georges。村のすぐ北部の畑。春先の天候の崩れが、今の葡萄の状態に見て取れる。収穫量は、今年も低い。

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DRCの新しい畑、Corton。まだVosne-Romanée村のそれらよりも、上手く成長が捗っていない様子。雹害は普通。



以上、観察の結果を挙げてみた。

春、夏の天候の崩れ、度重なる雹害が、Bourgogne中を苦しめていることがよく理解できた。
まだ成熟が遅れているために、収穫直前にどれだけ病気や腐敗が発生するか、まだ予測が立たない。
収穫量は、先年よりもさらに低くなるであろうし、収穫も大変であることは間違いないだろう。

今年の収穫は9月の第三週ぐらいから始まると聞く。
生産者の健闘を心から祈りたい。

[ 2012/09/16 23:05 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)

Alsaceのミレジム 1990-2010

 ワインの味わいは、それが生まれた年の想い出を封じ込めた鏡のようなものである
雨がちな天候であれば、酸味のあるワインになり、猛暑の年には、色調の濃いアルコリックなワインになる
しかしながら、暑い寒いだけでワインの個性が推し量れるわけでも、品質を決定付けるわけでもない
いろいろな要素が複合して、さらに各ミレジムの性質に応じて生産者が如何に取り組んだか、ということが大切になる

 今回は、Alsace地方の1990年から2010年までの年が一体どのようなものだったのかを考察してみたいと思う

 なお、このデータはCIVA(Comité Interprofessionel de Vin d'Alsace)の公式リポートを主としている。1つ1つのミレジムの情報はその次の年に書かれたもので、これらの記述が書かれた時代の視点を消さないで残したかったので、多くの記事は編集しないでそのまま載せている。さらにこのCIVAというAlsaceワイン普及団体の性質上、ネガティブな情報がやや少ない。その点を他の資料で補いつつ、自分の試飲情報を加えてまとめてみた。



1990年 連続して続いた、素晴らしいミレジムの3年目

 冬から春にかけてとても暖かかった(霜も雪もない旱魃ぎみ)。開花はとても早く、夏の期間は太陽の照る期間が続き、暑く、乾燥していた。しかしながら、GewuretraminerとMuscat(全体の20%)が深刻な結実不良に悩み、さらに雹が降り、Colmarの近辺700haにわたる範囲に被害があった。さらに夏の乾燥による水不足も発生した。


 収穫指示
Crémant: 9月24日
Alsace&Grand Cru: 10月4日

 収穫はとても素晴らしい状態で、糖度の強さはとても高いものとなった。バランスのとれて、丸みがあり、長い余韻をもった、偉大なワインとなった。1989、1988と並ぶ品質で、1976年と1971年とも比べられる。素晴らしい天候だったが貴腐菌がつかず、SGNにはならなかった。かわりに非常に健康な葡萄からVTが造られた。糖分が非常に高く、酸度が低い。

 収穫量は1100000hlとなった。前年に比べ、10%上昇。

 この年にワイン全体の売り上げが伸び、10%の上昇を記録した。


 Zind-HumbrechtのRiesling Clos Hauserer VT Magnum'90の偉大なる味わいの調和は忘れ難い。AlsaceのRieslingはフランスを代表するワインとなり得るということを証明する品質。



1991年 '88-'89-'90に続き、質と量共に素晴らしいレベル

 この年のAlsaceは幸運にも、他のフランスの地方を襲った春の雹の害から免れた。

 開花はやや遅かった。夏はとても天候に恵まれ、生産者は、ここ3年間と続いた素晴らしいミレジムがまたやってくるだろうと期待した。しかし自然は収穫のときまで、同じ天候状態を続けようとは望まなかく、8月には雹と豪雨が降った。

 収穫指示
Crémant: 9月25日
Alsace&Grand Cru: 10月9日

 結果として生産者たちは質と量に満足している。葡萄はとても強い糖度をもっていて(収量の多い区画を除く)、収穫の際にそれが減少する事はなかった。マスト中の酸度は糖分と素晴らしいバランスを保持し、フレッシュで、フルーティーになり、前3年の力強く、長熟性のあるワインよりもより軽口で、辛口のワインとなった。この年のワインはより典型的な飲み易い、若い内に楽しむタイプのワインとなった。

 9月後半と10月前半の混乱した天候の所為で、やや衛生状態に問題があった葡萄があったため(特にRieslingとPinot Blanc)、収穫量は1100000hlとなった。


このミレジムは未試飲である。

1992年 偉大なるポテンシャル

 穏やかな冬の後、発芽は早かった。さらに非常に早い開花(6月前半)とともに、受粉も完璧だった。良い収穫になるとの期待が持てるスタートだった。夏は暑く(1921年以来)、乾燥していて、葡萄の生育に良い条件が整った。6月に実の青い内に剪定したものもいる。ヴェレゾンは8月の後半に開始し、素早い成熟を迎えた。9月前半の雨の期間が、生産者の足並みをとめたが、これが良い水分を土中に蓄えてくれた。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月21日
Alsace&Grand Cru: 9月30日(1976年以降最速記録)

 収穫は10月の最初の3週間と長引き、この年の高い質と量の潜在性を証明した。
糖度の高さは1989年と1985年に近く、やや酸度が落ちる。乾燥に弱い区画と収量が多すぎる区画を除き、あらゆる品種がとても良い結果を迎え、とくにPinot系品種が素晴らしいものとなった。

 収穫量は1290000hlで、ここ5年の平均より16%上昇。


9月30日の時点で、1976年以来最速、という記述は非常に示唆的である。今現時点の2011年の段階でこのぐらいの収穫開始は遅い方である。未試飲。



1993年 期待の持てるミレジム

 発芽と開花がとても早かった。完全な開花は6月10日ごろに終わり(2週間早い)、非常に恵まれた天候のもと、太陽が多く照り、気温は上昇し、雨が少なく、品質への期待が高まった。

 収穫指示
Crémant: 9月13日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月23日木曜日(Sylvaner,Muscat,Pinot Blanc,Pinot Noir)、9月27日月曜日(Riesling,Gewurztraminer,Tokay Pinot Gris)

 9月中盤の天候は素晴らしく、高い糖分とバランスの良い葡萄が収穫された。しかしながらその後、興ざめな雨の期間(9月23日頃)がやってきて、収穫が混乱させられた。それにもかかわらず、Pinot系品種の酸味とアルコールのバランスは良く、1991と1992年と同じく、異なる品種ごとのキャラクターを良く現したものになった。雨の所為で遅摘みワインは少ない。

 南北あわせて約4000haばかりの区画に重要な雹の害があって、収量は減った。収穫量は1100000hlで、ここ5年の平均と同じ数値に留まった。


KreydenweissのKastelbergのエレガンスは今なお健在。中々素晴らしいワインがまだ残っていそうだ。Hengst Riesling Josmeyer...すこし、疲れぎみ。



1994年 成否はアペラシオンごとに異なった(9月後半の雨)

 発芽は4月で、雨がちだったが、開花は早かった(6月8日)。開花時期にとても素晴らしい天候が続き、多くの葡萄は素晴らしい実をつけた。雨は夏の前半のとても良い時期に降り、6-7月と気温が上昇し、葡萄の実がとても大きくなった。Gewurztraminerを除く他の品種は、房の量が異常なほど重く(+50%)なった。このような状態に対処して、しばしば生産者はエクラリッサージュを行った。8月には葡萄の成熟が進み、当然の事ながら、偉大なミレジムへの期待がよせられた。9月3週目以降の異常な雨の時期が、ほとんど熟していた葡萄の実を腐敗させてしまい、収穫指示がもうすこし早めに下されなければならなかった。9月降った雨は120-150mmを記録するもので、灰色カビ病が蔓延した。

 収穫指示
Crémant&Alsace pour Auxerrois: 9月16日
Crémant(tous les cépages)&Alsace&Grand Cru: 9月19日
Alsace&Grand Cru(Gewurztraminer,Riesling,Chasselas,Sylvaner): 9月28日

 9月の雨の期間のあと、大変幸運にも10月からそれ以降のシーズンに太陽が戻った。GewurztraminerとTokay Pinot Grisは先年にも比する高い糖分となった。VTとSGNは素晴らしい年となった。

収穫量は1236000hl。平年よりも6%上昇。Crémantは記録的数値。


Rolly-Gassmannの古いGewurztraminerのSGNを飲んだ事があるが、熟成の絶頂期といった感じで、甘さが飛んで、辛口のメインディッシュ用ワインのようであった。Michael Broadbentは収穫を10月まで待った造り手が成功したと記している。



1995年 対照的なミレジム

 開花は長引き、かなり遅めとなった(6月3週目以降)。とても寒く、雨がちの天候で、多くの区画で、ミルランダージュが発生した。7月は打って変わって晴天が続き、陽光の照る夏となった。良い収穫が期待されていた後、残念なことに9月になってから、雨がちな異常な天候となり、実の成熟が進む途中にも関わらず、収穫指示が取り急いで下された。

 収穫指示
Crémant: 9月21日(Auxerrois、Chardonnay)、9月25日(Pinot Blanc、Pinot Noir、Pinot Gris、Riesling)
Alsace&Grand Cru: 10月5日

 栽培家はこの気まぐれな天候を前に奮闘し、多くの畑で選果を決行し、品質を守った。しかしながら、10月の最後の2週間の収穫においては、糖分と酸味が凝縮して、素晴らしい結果となった。全体的にこのミレジムにおける収穫は、北部と南部でかなり均等さに欠くが、量よりも質の年となった。Rieslingが素晴らしい成果をあげ、Pinot系品種、特にTokay Pinot Grisはとてもリッチで期待ができるものとなった。VTとSGNも多く造られた。

 収穫量は1089000hl。

JosmeyerのPinot Gris'95、FondationとSGNは、今とても張りつめたミネラルと素晴らしい酸味の入り交じった、偉大なる白ワイン。ただし、JosmeyerのGewurztraminer HengstとHumbrechtのGewurztraminer Clos Windsbuhlはややイマイチ、下り坂で、この品種はよくなかったのかもしれない。



1996年 湿潤だが、とても良いミレジム

 ここ数年、あまりパッとしないミレジムが続いたが、生産者にとって満足のミレジムとなった。

 春の期間はとても難しかった。先年よりもやや遅れがみられた。発芽は遅く、開花は上手くいかず(特にGewurztraminer)、5月から8月までの間の天候は涼しげであった。かなりハラハラさせられた天気であった。しかし大変幸運にも衛生状態はとても良くて、1985年を想起させられるものであった。収穫が近づくにつれて、酸味はますます上がり、10月の陽光と乾燥した天候が葡萄の良い熟成を助けた。

 収穫指示
Crémant: 9月25日
Alsace&Grand Cru: 10月7日

 乾燥した天候と素晴らしい衛生状態が、多くの生産者をして葡萄がより熟するのを待たせた。この判断はPinot系品種にとって素晴らしい成功をもたらすことになった。Pinot Noirは色調濃く、Tokay Pinot GrisとPinot Blancは力強く、とても繊細なアロマを持っている。糖度と酸味のバランスはそてもデリケートで素晴らしいものがある。GewurztraminerとRiesling、Sylvanerは爽やかな酸味がこのミレジムの特徴で、区画ごとに量と質の差が激しい。Gewurztraminerは収量が少なく留まった。朝方に霧が多く発生したのでVTとSGNが多く造られ、素晴らしいミレジムとなった。

 収穫量は1170000hl。先年より8%の上昇。


 Pinot Grisの『トリュフの香り』で有名なミレジム。なぜ、Pinot Grisがキノコ系の香りが出るのか、それは、灰色カビがつき易い品種であるからに他ならず、それが高貴なイメージをまとった時に、キノコの香りは『トリュフの香り』に変化する。今まで飲んだすべてのPinot Gris'96にはこの香りが顕著。



1997年 歴史的なミレジム

 生産者にとって1997年の品質はとても満足のいくものであった。
 春はとても陽光が照って、暑かった。冬と、さらに春に期間に霜の害があって、発芽がかなりイレギュラーに起こり、幾つかの品種(特にGewurztraminer)で、花ぶるいが生じた。開花は6月10日と、二週間近く早かった。6-7月と湿った季節が続いて、成長のスピードは平年なみに戻った。8月は再び暑く、陽光の照る日々が戻った。葡萄の成熟期間中、雷雨が2-3週間続いたのみだった。

 収穫指示
Crémant: 9月18日
Alsace&Grand Cru: 10月1日

 結果的には、このミレジムの品質は9月の天候状態に起因するといってよい。太陽の日差しの強さはあらゆる衛生上の不安を追い払うのに十分で、場所によって、腐敗と雹の害にあった場所もあったものの、温暖で、乾燥した天候が続き、収穫はとても素晴らしい結果になった。9月におけるColmarの天候観測所では総日照時間が253時間を観測したほどである。1989年の159時間と比べても、驚嘆すべき数値である! 夏の期間の貯水量の多さがこの年の後半に幸いした。
 すべての品種を収穫する際にも、素晴らしい天気が続き、葡萄は成熟し、1989年をも上回り、糖度と酸味のバランスがとても良かった。Sylvanerは円やかでエレガント、Pinot BlancとTokay Pinot Grisはリッチで、構成感があり、度々、過熟気味になったワインをみかける。Rieslingは、気品に満ちた花のアロマがあり、強い酸味の凝縮感がある。Gewurztraminerは丸く、チャーミングで、よく熟した典型的なエキゾチック・フルーツのアロマがある。Pinot Noirは色調濃く、タンニンもよく熟れている。VTとSGNはこれまでに生産したことがないほどの量を産した。


 収穫量は1204000hl。


 非常に良い思い出の多いミレジム。力強く、アロマティックなワインを沢山試飲した。Christian BinnerのGewurztraminer VTやKreydenweissのClos de Val d'Éleonなどのエレガンスとバランスは素晴らしい。



1998年 質と量が揃った年

 9月に降った雨は、生産者の決心を必ずしも鈍らせず、彼らは懸命にも平静を保ち、その結果として偉大なミレジムを生み出すことに成功した。

 思うに既に非常に乾燥して陽光の照った5月がその素晴らしいミレジムへの予兆を示していた。この早い成長を緩めてはいけなかった。7月の天候は平均的であったが、8月は猛暑になり、あまり見られない葡萄の実のブルリュール(強い日差しで実が焼け焦がした状態になること)が発生した。最初に糖度の値が熟して非常に高くなり、この年は近年で最も早い収穫年の1つとなった。


 収穫指示
Crémant: 9月15日
Alsace&Grand Cru: 9月24日

 9月の雨が成熟を遅らせ、ボトリティスの活動を活発化した。
 Muscatは早めの収穫で、円やかさとピュアなアロマをもったワインとなった。Pinot系品種、Sylvaner、Rieslingは先年に似た年になった。これらのワインはとても真っすぐで、アロマティック、そしてバランスが良い。早く摘むことを心配された割に、酸味はとても高い。Tokay Pinot Grisはとても凝縮して、Gewurztraminerは一律に強いアロマを持ったワイン。Crémantの収穫量は今年も伸び続け、この年はRieslingをブレンドした造り手は、高い酸とのバランスを獲得することに成功した。VTとSGNは去年の記録的な数値には及ばなかったものの、史上はじめてSGNがVTの数値を上回った。後半のシーズンの貴腐の活発化がその理由である。(訳注;CIVA内の複数の資料に矛盾があって、SGNがVTを本当に上回ったのか確認ができない)

収穫量は1211000hl。 少しだけ上昇。VTが10856hlであるのに対し、SGNは10929hl。


 忘れ難き、KreydenweissのKastelberg'98の強靭な味わい。Alsaceに行きたいと強く思い描くきっかけとなったワイン。その鋼鉄の意志と、驚嘆すべき精神をもった味わいは、偉大なミレジムに偉大な土壌が揃わないとなし得ないと感じたのだ。



1999年 質、量ともに満足

 雨が持続的に降ったにもかかわらず、冬と春の天候状態は比較的良かった。発芽は4月13日ごろで、開花は6月17日、ヴェレゾンは8月16日という記録となった(INRA Colmar)。葡萄の成長状態は特に問題なく進んだが、7-8月に雨がの日が続き、ベト病の攻撃があった。収穫の直前、畑は3週間の太陽のシーズンを迎え、気温が上昇して、葡萄の成熟度はとても満足いくものであった。この年から新しいAOC Alsace法が用いられ、品種ごとの収量制限を設けることが、このミレジムの成功の鍵となった。

 収穫指示
Crémant: 9月20日
Alsace; 10月4日
Grand Cru: 10月7日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月18日

 衛生状態が素晴らしい状態であったが、品種ごと、区画ごとの成熟状態は不均等であった。すべてのワインはバランスはとてもよくなった。Sylvanerは偉大なミレジムに数えられる。Pinot Blancは素晴らしいCrémantを生み、特級のRieslingはテロワールの味わいを見事に表現した。Muscat、Pinot Gris、Gewurztraminerは典型的な品種のアロマティックさを出した。Pinot Noirは力強く、色調濃い。10月の天候はきまぐれで、収穫期間を伸ばさざるを得なくなった。

 収穫量は1228000hl。1.4%上昇
特にCrémantの収穫量が非常に増えた。VTとSGNは合わせて21000hl。


 気まぐれな年なのか、この年のワインで、まだ良いのには当っていない。過熟ぎみのワインが多い?Bourgogneの白があれほど偉大であるのとは大違いである。




2000年 時代を画するミレジム!

 あまり冴えない冬のあと、春は暑く、陽光が照った。発芽は4月20日ごろ。よい天候が続き、開花はとても早く開始(6月6日前後)し、とても早く終わった。平年より3週間近い早めの生育が進んだ。6月は暑く乾燥していて、夏までの間にとても良い状態を迎えた。7月と8月に入って天候は崩れ、冷涼で雨も降が降る天気になった。病原菌が蔓延することも多く、葡萄の成長は阻害された。その内、太陽が戻ってきて、ワインの品質は幾分か救われた。生産者の多くはグリーンハーヴェストを実践した。

収穫指示
Crémant: 9月11日
Alsace&Grand Cru: 9月21日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月2日
AOC Alsaceは新たなる収量制限がなされた1999年の後、特級にも新たなる制限が課されるようになった

 9月半ばに太陽が照った状態での収穫が続けられた。衛生状態はそこまで悪いものではなかった。成熟してバランスのとれた葡萄になり、品種ごとの個性のでたものになった。Sylvaner、Pinot Blanc、Auxerroisはとてもフルーティーで、Gewurztraminer、Pinot Noir、Pinot Grisはとても凝縮している。2000年はRieslingにとってとても良いヴィンテージである。早く成熟したにも関わらず、多くの生産者はVTとSGNも多く生産した。

収穫量は1210000hl。
AOC Alsaceは1000000hl、Grand Cruは50000hl、Crémantは160000hl。VTは19000hl、SGNは11000hl。

 売り上げの先年比は-2%となった。


 試飲した記憶が、少なくなってきた年代にさしかかる。HumbrechtのRangen PGは、ボトリティスのニュアンスの強いものだった。



2001年  新しい世紀を飾るに相応しいミレジム

 冬の間はとても厳しかった。発芽は4月10日ごろで、畑は平年どおり成長していった。5月と6月の強い雨期に病原菌が蔓延したが、生産者はこれをよく抑えた。開花は6月10日ごろから25日まで伸びて、6月18日の寒い時期に重なった畑もあった。Muscatの受粉が上手くいかず、1/3しか成功しなかったとRené Muréの記事にある。夏の期間は陽光が照り、猛暑と雨がちの天候が代わる代わるやってきた。雹を伴う雷雨が畑を襲ったときもあった。全体的にみると、平均よりも気温は低めである。特に8月にその傾向がある。成熟はやや遅れた。

 収穫指示
Crémant: 9月17日
Alsace&Grand Cru: 10月1日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月15日
2001年からの新しい法令に従い、15の特級畑に収量制限強化、最低アルコール値の上昇などが守られた

 9月の不機嫌な天候が偉大なヴィンテージへの期待を薄めた。しかし幸運にも、造り手は10月の素晴らしい天候を享受することができた。収穫の期間はすばらしく温暖な天気が続き、ほとんど雨が降らなかった。実の成熟が遅れたことと反して、酸味はしっかりと保持されていた。Pinot Blancの衛生状態は完璧で、素晴らしいCrémantが造られた。Sylvaner、Muscat、Gewurztraminerはとてもアロマティックで、大成功をおさめた。2001年はRieslingのヴィンテージである。美しい濃縮感とフレッシュ感を保持することに成功した。Pinot Noirは、衛生状態がとても良かったために、色調がとても濃くきれいになった。Tokay Pinot Grisも収穫の日次第でとても美しい結果を残した。VTとSGNの収穫量は増えた。この年からこの二つのカテゴリーの最低糖度が引き上げられた。

 収穫量は1217000hl。
AOC Alsaceは1010000hl、Grand Cruは48000hl、Crémantは160000hl。VTは15500hl、SGNは2800hl。

 売り上げは平均的だった。しかしCrémantの売り上げは非常に上昇し、28%アップとなった


 TrimbachのRiesling Cuvée Frédéric Emile'01など、忘れ難い偉大なワインが沢山ある。フレッシュで、品格のある、偉大なミレジムである。2001年1月24日の法規制改定(Décret)で、Alsace Grand Cruの品質を押し上げるための法律が強化された(品種、収穫日時の正確化、区画、品種ごとの最低糖度の設定など)。この改定はさらに年ごとに条項が追加されていった。


2002年 不安定な天候だったものの、良いミレジムとして満足の出来

前年の冬と異なり、'01-'02年間の冬の天候は厳しかった。1月中ずっと、霜が大地に留まった。春は雨と太陽が交互にやってきて、葡萄の成長は遅かった。4月の平年通りの頃合いに発芽し、以降は通常の成長にもどった。6月の理想的な天候のもと、開花が一斉におこり、先年よりも早摘みの状態が整った。夏の間は、暑い期間と湿気がちの期間が交互にやってきて、これがベト病の蔓延を許した。8月後半から9月中盤にかけて葡萄の成熟は順調で、先年よりも早い生育が確認された。多くの生産者はエクラリッサージュを行った。

 収穫指示
Crémant: 9月16日
Alsace&Grand Cru: 9月30日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月14日

 10月はじめの太陽を待つものもいて、生産者ごとに収穫開始の日が異なる。
成熟面では素晴らしい状態であったものの、きまぐれな天候状態が、葡萄の腐敗を招いた。区画ごとにことなっているものの、腐敗の多い場所では選果がなされた。早い成熟と優れた技術が、品質の鍵となった。灰色カビになったか、貴腐になったかは、8月にいかに収量を減らす努力をしたかにかかっているとRené Muréは考察している。
 Rieslingはアルコールと酸のバランスが良く、長い熟成の可能性をもったものとなった。Sylvanerはフレッシュで、Pinot Noirはとてもフルーティーである。

 収穫量は1223000hl。
AOC Alsaceは1013000hl、Grand Cruは44000hl、Crémantは165000hl。VTは10000hl、SGNは2000hl。

 売り上げは1147000hlと1.8%上昇


 早飲みワインが多そう。なかなか開かないTrimbachのClos Saint Huneが今とても美味しく飲めてびっくりしたものだ。HumbrechtのWindsbuhlはボトリティスのイメージがあるためか、濃密でとても美味しい。



2003年 驚嘆のミレジム

猛暑の夏は、Alsaceにとってびっくりするような早熟性を葡萄にもたらした。このような現象は1540年に遡るまで、見いだされないことであった!

'02から'03にかけての冬は厳しく、とくに1月から2月にかけて長い霜の降りた期間があった。3月には天候はよくなり、4月前半に発芽が始まった。春に霜(雪?)が再び降り(4月10日)、早く芽を出した樹に被害があった(Pinot Noir,Muscat,Gewurztraminer)。このダメージは次の年のための芽にも被害を与えた物がある。5月、6月と天候が戻り、開花は平年の3週間近く早くなった(6月3日)。夏の間は非常に暑く、乾燥した。降雨量は低いか、全くなくて、畑では貯水した部分を求めて、深く深く根を下ろした。軽い土壌のもとでは、成長が妨げられた。その間、雷雨と雹の被害を受けた地区も存在する。8月には気温は40度を越え、それが15日近く続いたのである!


 収穫指示
Crémant: 8月25日
Alsace&Grand Cru: 9月8日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月15日

 夏期の異常な乾燥のあと、衛生状態は完璧であった。マストの酸度は低く、EU内では例外的に補酸が許された。この不慣れな状況での醸造は難航したものの、びっくりするようなワインも生まれた。SylvanerとMuscat d'Alsaceは印象的な完熟の葡萄の特徴を示し、8月に急いで収穫されたPinot BlancとAuxerroisの酸味はすぐに落ちた。軽い土壌のRieslingは9月に降った雨に少し助けられ、成熟が再開され、素晴らしい成功を収めた。Tokay Pinot GrisとGewurztraminerはリッチで、酸が少ない。Pinot Noirはとても色調が濃く、この特殊な天候において素晴らしい結果を得た。Rieslingをなどは酸不足(つまり水不足)に悩み、収穫を待つあまり、René Muréは10月24日までかかったという。

 収穫量は1004000hlで、平均値より18%減少となった。
AOC Alsaceは822900hl、Grand Cruは40500hl、Crémantは140000hl。VTは15400hl、SGNは1000hl。

 売り上げは2.9%減少


 このミレジムのワインを判断することは未だ難しい。酸味の少ない甘口ワインをよく飲んだが、フィネスに欠くものが多い。



2004年 調和の再開

 2003年の異常な天候の後、2004年は通年通りのスタイルに戻った

 冬は典型的な寒さで、1月末に暖かくなってきた。しかしながら、雨不足がちとなった。春になると天候は変わり易く、雲がちであった。発芽は4月中盤に起こり、乾燥した天気は続き、2003年と同じような状態になるのではないかと危惧されはじめた。6月中旬、雨と開花が同時におこった。この湿気がちの天候はウドンコ病を育て、畑では多くの注意がなされた。7月には多くの造り手がグリーンハーヴェストを行った。8月は対照的に雨がちで、9月前半になって高気圧が戻った。葡萄は成熟し、衛生状態も良かった。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月20日
Alsace&Grand Cru: 9月30日-10月11日
VTとSGNは通常の収穫指示の後の最低2週間しか収穫できなかった

 収穫前半の頃は、葡萄の素晴らしい成熟と完璧な衛生状態で、総酸度は平準値になった。Crémantは大変、繊細なものとなった。素晴らしいフレッシュ感があり、Alsaceのアペラシオンにとって典型的なワインとなった。バランスが良く、繊細でアロマティックな、Sylvaner、Muscat、Pinot Blanc、Rieslingが生まれた。Pinot Blanc、Rieslingは最も素晴らしい結果となった。Pinot Noirは色調濃く、'03よりも淡めとなったが、強くエレガントである。フルーティーではあるものの、Gewurztraminerと特にPinot Grisは後半の雨に苦しんだ。10月20日から雨があがり、貴腐のつく条件が揃い、早急に収穫された。

 収穫量は1263564hlで、5年間の平均値より7.4%上昇となった。
AOC Alsaceは1003183hl、Grand Cruは45435hl、Crémantは214946hl。VTは11059hl、SGNは1465hl。

 売り上げは3.6%減少


 HugelのJubiléeやValentin-ZusslinのRiesling Clos Liebenberg。繊細で、きめ細かい香り。




2005年 表現力豊かな、熟成力をもったワイン

 この年のVTは12月まで収穫が続けることができた。つまり、この年の天候はそれほど良好だったということである。

 冬は典型的なもので、前年の12月から、この年の1月にかけて、霜が降り、産地では雪が沢山積もった。しかしながら降水量自体は低く、'04年の10月から'05年の3月にかけての降水量はたったの150mmに留まった。4月は温暖で、雨が降り、発芽には好都合であった。5月後半に開花がはじまると、ちょうどその期間に猛暑になり、30度にまでも達した。6月中盤から7月後半にかけて非常に温暖な天候で、葡萄は順調に成長した。多くの造り手はグリーンハーヴェストを行い収量を抑えた。8月前半が、快晴であったとすれば、後半はこのシーズンにしては涼しく対照的な天候であった。この天候条件は酸味を保持することに寄与した。8月末には好天気が舞い戻り、衛生状態の完璧な葡萄は完熟に向かった。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月7日
Alsace&Grand Cru: 9月22日
特級の品質を保持するために、収量を減らすことに決められた

 葡萄は完熟し、酸味は、酒石酸の形で保持された。10月から大雨が降り、収穫が案じられたが、最も繊細な葡萄から摘む事でリスクは回避された。Crémantはフルーティーでフレッシュだが、対照的に軽い土壌で水分不足なRieslingは成長が阻害された。Pinots系品種はバランスよく、果実味に溢れている。Gewurztrainerはとてもアロマティックである。10月6日から20日にかけて、雨が少なく、朝は霧がちで、昼間に快晴となり、素晴らしい貴腐がついた。VTとSGNは大変素晴らしい。

 収穫量は1155000hlで、- 8.6%減少となった。
 スティル・ワインは881000hl、スパークリングワインは、274000hl。


 リッチなヴィンテージ。よりアロマティックなPinot Gris、よりスパイシーなGewurztraminer。RieslingはSipp-MackのOsterberg'05など重い土壌では素晴らしいワインの表現が生まれている。この年からGrand Cru Altenberg de Bergheimにおける品種の混植が認められた(Deissの働き)。さらにMittelbergheimのZotzenbergにてSylvanerがMuscatの変わりに特級に昇格。



2006年 非常に難しいミレジム

 非常に難しい年であったことは確かだが、各種の技術によって、驚かされるものにも出会えるだろう

 発芽は4月25日と遅めであった(50-80年代に匹敵する遅さ)。それにも関わらず、6月の太陽の恩恵によって開花は平年どおりに始まった(6月19日ごろ)。6月29日に雹を伴う雷雨が降り、畑が痛み、果肉に圧迫感が与えられてしまった。7月の熱気は、成長を早めた。8月は雨がちで、8月20日ごろに腐敗の兆しがあらわれた。成熟は9月の二週間での間でなされた。

 収穫指示
Crémant: 9月11日、ただしRiesling9月18日
Alsace&Grand Cru: 9月25日、ただしRieslingとGewurztrainerは9月27日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月11日

 雨と、時折の雷が9月24日から10月の最初まで続いた。この雨よりも前に収穫できなかった区画の葡萄は、変質してしまった。注意深さと醸造技術を駆使した造り手が、ある一定の品質のものを生み出した。非常に多くの努力と、注意深い選果、そしてマストの清澄化に励まなくてはならなかった。
 Crémantは最も早かったPinots系品種の場合、雨を免れたのでエレガントで構成がしっかりとしたものができた。白ワインは香り高く、酸味がある。円やかで口当たりのさっぱりした、若飲みタイプのワインになった。Pinot Noirは軽口でフルーティーなものになった。VTは少ないが、とても成功したものもあり、特にGewurztraminerは1O月の陽光を享受した。

 収穫量は1081000hlで、8%減少となった。
 スティル・ワインは857748hl、スパークリングワインは、223942hl。

 売り上げ。2.3%上昇。フランスは1%だが、国外は6%となり、Crémantは8.4%上昇。


 かなり難しいミレジム。多くの優良Domaineでは、普通のキュヴェや特級を断念して、なんとかVTだけを造ったところが多い。Pinot Grisは『キノコの香り』のするタイプ。



2007年 待望のグット・ヴィンテージ!

2007年は偉大なミレジムの一つに数えられるだろう!

また1つ、変わったヴィンテージであった。温和の冬のあと、春はとても暑い天候であった。素晴らしい熱気が発芽を早め、さらに、開花は5月25日前後に始まった! 6,7,8月は雨がちな天候になり、どちらかというと冷涼であった。このハーフトーンの天気は、春先の成長の先行の一部を、覆いかぶしてしまった。しかしこのような天候が、すべての葡萄の成熟をゆっくりとさせて、果実味とフレッシュ感を保持することができた。


 収穫指示
Crémant: 8月22日、ただしRieslingとChardonnayは8月27日
Alsace&Grand Cru: 9月5日、ただしRieslingとGewurztrainerは9月10日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月19日

 Crémant d'Alsaceの収穫時は、とても天候に恵まれた。9月になって、高気圧がやってきて、素晴らしい月を迎える事になった! 温暖な日中と冷涼な夜間が続き、ほとんど降らなかった雨が、好意的な成熟を約束した。完熟して、衛生状態も完璧な葡萄が収穫された。質と量の多い年となった。
 Pinot Noirは小さな赤果実味(グロゼイユからブラック・チェリー)にしっかりとした色付きがある。Pinot Grisは特に成功し、力強く、蜂蜜の香り、そして熟した酸度が味わいを支えた。もしもRieslingがもう少し成熟を必要としたとしても、とてもフルーティー(柑橘類)で、エレガンスとフレッシュ感を備えている。SylvanerとPinot Blancは典型的なヴィンテージになった。Gewurztraminerは最も成功したヴィンテージの1つである。リッチで濃密、そしてアロマティックである。2007年はすべての品種がとても素晴らしい結果となった! さらに素晴らしい天候は続き、VTとSGNも造られ、1997年の記録すら更新されたのである!


 収穫量は1151749hlで、6.5%%上昇となった。
 スティル・ワインは916044hl、スパークリングワインは、235705hl。

 売り上げ。0.8%上昇。フランスは0.4%だが、国外は2.1%となり、Crémantは8.4%上昇。


 全体的にエレガントで、酸味の美しいミレジム。HumbrechtのWindsbuhl Riesling、Sipp-Mack Rosacker、Schlumberger Kessler RieslingやSeppi LandemannとRené MuréのPinot Grisなど、繊細でアエリアンなイメージを描くワインに完成度の高いものが多い。この年から、実力があるとされながら、ずっとAlsaceのLieu-dit扱いだったAmmerschwihrのKaefferkopfが弟51番目の特級に昇格した。この畑ではGewurztrainerとRiesling、Pinot Grisを主体にしたものであれば混植が認められた。



2008年 とても良い、典型的なミレジム(9月14日の風)

2008年というヴィンテージはカテゴリー付けするのが難しいとしても、すべての生産者にとって、満足のいく年となった。フレッシュ感と果実味の高さ、衛生状態も考えていたほど悪くなく、いろいろな点で偉大なヴィンテージとなった。天候状態と成熟はかなり特殊であった。2008年は2000年以前のクラシックなヴィンテージに近い性質のものであった。
冬と春の混沌とした冷涼な気候が、発育の早い場所と遅い場所に決定的な差異を生み、発芽は4月の後半、つまり平年よりも10日近く遅く始まった。5月は例外的に暖かく、発育が進み、少しだけ遅れを取り戻した。開花は6月15日ごろだったが、15日間ほどの湿気がちで寒い天候が生育を遅らせた。このことは更に、生長の早い場所と遅い場所の差異を決定付け、さらにベト病の発生に対して重要な場所を提供することとなった。夏は冷涼な期間と温暖な期間が代わる代わるやってきて、雷雨が強く、かなり荒れた時もあった。猛暑にはならず、アロマと酸味を保持するのに理想的であった。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 9月15日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月25日月曜日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月9日火曜日

 衛生状態よりも不均等な成熟状態を念頭においた上で、早く成熟したブドウから収穫が始められた。
9月の最初の二週間は湿気がちで、特に9月13日に大雨が降った。幸運にも次の日は冷涼ではあったが、陽光が照り、風が強く、ブドウを乾燥させ、腐敗を防いでくれた(訳注;Bourgogneでもまったく同じ現象があった事を覚えている)。収穫がはじまってからは乾燥して、晴れの日が続き、非常に天候に恵まれた。Crémantは繊細かつ清潔で、とても素晴らしい結果になった。Gewurztraminerもとても良い。収量は低く、フレッシュ、ピュアで、典型的なアロマをもったワイン。SylvanerとPinot Blancは芯がしっかりとして、綺麗。Muscatはアロマティックだが、Ottonelはおおく結実不良になり、収量は減った。Rieslingの成熟期間はとても長かったが、特級の品質の高さは飛び抜けている。Pinot Noirは後半の天候に助けられ、色素と果実味が増した。Pinot Grisの衛生状態は場所によってかなりばらついた。しかしながら2007年にくらべて、過熟のニュアンスはないが、フルーティーでスモーキー、さらに素晴らしいバランス感がある。10月の素晴らしい天候は多くのVTとSGNを産し、偉大なる熟成ヴィンテージとなった。

 収穫量は1131443hlで、1.8%減少となった。
 スティル・ワインは882668hl、スパークリングワインは、248775hl。

 1130000hlの売り上げ。0.7%上昇。フランスは1.4%だが、国外は-1.5%となり、Crémantは223000hlで、フランス国内4.8%、国外14.3%増となった!


 Alsaceでも最も完成度の高いミレジムと多くの生産者は言う。Kastelberg'08の軽やかでまとまったバランス、Meyer-FonnéのPfoeller Rieslingなど、偉大なアロマとバランスをもったワイン。



2009年 早い成熟、完璧な衛生状態、高い果実味

 発芽は遅かった。しかし4月~5月の天候が非常に早く上昇したので、開花は早く、6月上旬であった。結合期間も快晴が続いた。7月は少し陰鬱な天候であったが、8月はとても暑く、陽光が強く、ブドウの成熟に良好なコンディションが整った。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 8月31日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月14日月曜日(1-2週間後;Kaefferkopf&Bruderthal&Altenberg de Bergheim&Kanzlerberg)
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月28日火曜日

 9月は日中はとても暑かったが夜は涼しく、9月後半は、アロマの成熟にとっても最も理想的な状態となった。水分不足の所為で、軽い土壌では成熟が遅れ、強いストレスを与えた。それでも、すべての品種の衛生状態は完璧であった。こんなことは滅多にあることでないと、醸造家は言ったものだ。収穫期には完璧な成熟状態にあった。一般的に、アルコールが高く、収量高く、酸味も多い。2009年は若くから楽しめるワインになりそうである。

 Crémantは偉大な年に数えられる。一昨年前のMuscatの花ぶるいのダメージを補ってあまりあるものであった。弾けるような果実味のあるワインとなった。Sylvanerは良く熟した白果実のノート。Pinot系品種はとても偉大である。Pinot Blancはフレッシュでアロマティック、特にPinot Noirは、タンニンが熟し、柔らかく、深い色調になった。Gewurztraminerはとても素晴らしい結果になった。収穫時に皮はとても濃くなり、スパイシーな性質となった。Rieslingは果実味あふれ、柑橘類とフローラルな特徴となった。Rieslingは重い丘のテロワールにあって、素晴らしいフレッシュ感をキープできた。10月の天候のお陰で、VTとSGNは多く、パスリヤージュ的特徴が残った。

 収穫量は1166900hlで、2008年に比べ、3.1%上昇となった。
 スティル・ワインは916600hl、スパークリングワインは、250300hl。

 1116000hlの売り上げ。1.2%上昇。フランスは0.8%だが、国外は+7.1%となり、Crémantは239000hlで、7.1%上昇。

 難しいミレジム。酸味のなさというよりも、苦味がワインに残りがちなのが問題。しかも区画ごとに熟成度がことなり、冷涼なパーセルは比較的フレッシュで成功したようだ。造り手によっては15%までもアルコールが達し、そのようなワインにはさすがに辛いものを感じる。



2010年 少ない収穫量と、素晴らしいフレッシュ感


 栽培が非常に複雑で、難しい年だった。これだけ、気候に左右されたことは珍しいぐらいであった。
 前年の冬は非常に寒く、12月19日ごろにはColmar周辺で-20°を観測し、若い樹の区画に損失があった(芽が霜の害にあった)。特にGewurztraminerに被害があった。発芽は遅く、4月中旬であった。5月初旬は冷涼で雨がちとなった。5月後半から天候は持ち直し、平年なみとなった。開花は6月20日ごろで、霜と発芽が不均等であったために、畑によってかなり開きがあった。受精の期間は天候が芳しくなく、かなり混乱を招き、花ぶるいとミルランダージュ(特にMuscat OttonelとGewurztraliner)が多かった。続く7月前半はとても暑く、成熟を早め、衛生状態はよくなった。糖分は非常に濃縮し、酸度も高い状態での成熟が続いた。しかしながら、混乱した天候の所為で品種ごと、畑ごとの成熟度はまばらであった。樹勢が低くなり、ボトリティスの攻撃を防ぐことには成功した。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 9月13日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月27日月曜日(1週間後;Kaefferkopf&Pfingstberg、2週間後; Altenberg de Bergheim&Kanzlerberg)
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月12日火曜日

 9月15日頃から湿気が消え、太陽がもどってきた。酸度は高まり、糖分は急激に上昇した。2010年のワインは、フレッシュでフルーティーになり一般に認識されているアルザス・ワインとなり、熟成の可能性を示唆するヴィンテージである。アルザス全体において、品種によってはかなり収量が減った。テクニック(特にシュール・リー)によるエレヴァージュで、素晴らしいバランス感のあるワインが生まれれた。

 とても重要なフレッシュさを保ちつつ「完熟」した、Crémantにとってとても素晴らしいヴィンテージである。MuscatとPinot Blancは弾けるような果実味に溢れている。Pinot Noirは果実味に富み、色調濃く、素晴らしい抽出がなされた。Gewurztraminerの収穫量がかなり低い年になった。しかしながら、この品種の果実味はとても素晴らしく、フローラル(バラ)である。'09よりスパイシーさが少ない。力強さとフレッシュ感が見事に共存している。Pinot Grisは病害の危機を免れた。とても繊細で、フルーティー、熟した果実(洋梨)がバランス良く溶け合っている。Rieslingの収量も低く、フレッシュで、柑橘系の香りに満ちていて、熟成型となった。一般的に低収量の年には貴腐が多くなるにも関わらず、この年のVTとSGNは少なめに留まった。それでも、素晴らしい品質の甘口ワインとなるであろう。

 収穫量は911950hlで、2009年に比べ、21.8%減となった。
 スティル・ワインは670880hlと26.8%減で、スパークリングワインは、241070hlと3.7%減となった。

 1100000hlの売り上げ。1.5%上昇。フランスは-2.8%だが、国外は+2.5%となり、Crémantは243000hlの上昇。


 まだあまり試飲経験は少ないが、チャーミングで、フローラルなミレジムの印象。熟成は中ぐらいではないだろうか。





ミレジムの性質は、ワインの味わいを支配する
土壌が制限し、人が如何にコントロールしようと望んでも、天候状態がワインの中に強く封印される
1996年のトリュフのイメージ、2001年の伸びやかな酸味、2003年の濃度と厚み。
造り手を越えて、土地の個性を越えて...。
我々がミレジムの記録をつけ、エティケットにその生まれた年を載せるのは、消し難いミレジムの記憶を思い起こすため、自然が残したそれぞれの時代の思い出を確認するための作業なのである


[ 2011/12/25 18:43 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)



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