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Alsaceのミレジム 1990-2010

 ワインの味わいは、それが生まれた年の想い出を封じ込めた鏡のようなものである
雨がちな天候であれば、酸味のあるワインになり、猛暑の年には、色調の濃いアルコリックなワインになる
しかしながら、暑い寒いだけでワインの個性が推し量れるわけでも、品質を決定付けるわけでもない
いろいろな要素が複合して、さらに各ミレジムの性質に応じて生産者が如何に取り組んだか、ということが大切になる

 今回は、Alsace地方の1990年から2010年までの年が一体どのようなものだったのかを考察してみたいと思う

 なお、このデータはCIVA(Comité Interprofessionel de Vin d'Alsace)の公式リポートを主としている。1つ1つのミレジムの情報はその次の年に書かれたもので、これらの記述が書かれた時代の視点を消さないで残したかったので、多くの記事は編集しないでそのまま載せている。さらにこのCIVAというAlsaceワイン普及団体の性質上、ネガティブな情報がやや少ない。その点を他の資料で補いつつ、自分の試飲情報を加えてまとめてみた。



1990年 連続して続いた、素晴らしいミレジムの3年目

 冬から春にかけてとても暖かかった(霜も雪もない旱魃ぎみ)。開花はとても早く、夏の期間は太陽の照る期間が続き、暑く、乾燥していた。しかしながら、GewuretraminerとMuscat(全体の20%)が深刻な結実不良に悩み、さらに雹が降り、Colmarの近辺700haにわたる範囲に被害があった。さらに夏の乾燥による水不足も発生した。


 収穫指示
Crémant: 9月24日
Alsace&Grand Cru: 10月4日

 収穫はとても素晴らしい状態で、糖度の強さはとても高いものとなった。バランスのとれて、丸みがあり、長い余韻をもった、偉大なワインとなった。1989、1988と並ぶ品質で、1976年と1971年とも比べられる。素晴らしい天候だったが貴腐菌がつかず、SGNにはならなかった。かわりに非常に健康な葡萄からVTが造られた。糖分が非常に高く、酸度が低い。

 収穫量は1100000hlとなった。前年に比べ、10%上昇。

 この年にワイン全体の売り上げが伸び、10%の上昇を記録した。


 Zind-HumbrechtのRiesling Clos Hauserer VT Magnum'90の偉大なる味わいの調和は忘れ難い。AlsaceのRieslingはフランスを代表するワインとなり得るということを証明する品質。



1991年 '88-'89-'90に続き、質と量共に素晴らしいレベル

 この年のAlsaceは幸運にも、他のフランスの地方を襲った春の雹の害から免れた。

 開花はやや遅かった。夏はとても天候に恵まれ、生産者は、ここ3年間と続いた素晴らしいミレジムがまたやってくるだろうと期待した。しかし自然は収穫のときまで、同じ天候状態を続けようとは望まなかく、8月には雹と豪雨が降った。

 収穫指示
Crémant: 9月25日
Alsace&Grand Cru: 10月9日

 結果として生産者たちは質と量に満足している。葡萄はとても強い糖度をもっていて(収量の多い区画を除く)、収穫の際にそれが減少する事はなかった。マスト中の酸度は糖分と素晴らしいバランスを保持し、フレッシュで、フルーティーになり、前3年の力強く、長熟性のあるワインよりもより軽口で、辛口のワインとなった。この年のワインはより典型的な飲み易い、若い内に楽しむタイプのワインとなった。

 9月後半と10月前半の混乱した天候の所為で、やや衛生状態に問題があった葡萄があったため(特にRieslingとPinot Blanc)、収穫量は1100000hlとなった。


このミレジムは未試飲である。

1992年 偉大なるポテンシャル

 穏やかな冬の後、発芽は早かった。さらに非常に早い開花(6月前半)とともに、受粉も完璧だった。良い収穫になるとの期待が持てるスタートだった。夏は暑く(1921年以来)、乾燥していて、葡萄の生育に良い条件が整った。6月に実の青い内に剪定したものもいる。ヴェレゾンは8月の後半に開始し、素早い成熟を迎えた。9月前半の雨の期間が、生産者の足並みをとめたが、これが良い水分を土中に蓄えてくれた。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月21日
Alsace&Grand Cru: 9月30日(1976年以降最速記録)

 収穫は10月の最初の3週間と長引き、この年の高い質と量の潜在性を証明した。
糖度の高さは1989年と1985年に近く、やや酸度が落ちる。乾燥に弱い区画と収量が多すぎる区画を除き、あらゆる品種がとても良い結果を迎え、とくにPinot系品種が素晴らしいものとなった。

 収穫量は1290000hlで、ここ5年の平均より16%上昇。


9月30日の時点で、1976年以来最速、という記述は非常に示唆的である。今現時点の2011年の段階でこのぐらいの収穫開始は遅い方である。未試飲。



1993年 期待の持てるミレジム

 発芽と開花がとても早かった。完全な開花は6月10日ごろに終わり(2週間早い)、非常に恵まれた天候のもと、太陽が多く照り、気温は上昇し、雨が少なく、品質への期待が高まった。

 収穫指示
Crémant: 9月13日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月23日木曜日(Sylvaner,Muscat,Pinot Blanc,Pinot Noir)、9月27日月曜日(Riesling,Gewurztraminer,Tokay Pinot Gris)

 9月中盤の天候は素晴らしく、高い糖分とバランスの良い葡萄が収穫された。しかしながらその後、興ざめな雨の期間(9月23日頃)がやってきて、収穫が混乱させられた。それにもかかわらず、Pinot系品種の酸味とアルコールのバランスは良く、1991と1992年と同じく、異なる品種ごとのキャラクターを良く現したものになった。雨の所為で遅摘みワインは少ない。

 南北あわせて約4000haばかりの区画に重要な雹の害があって、収量は減った。収穫量は1100000hlで、ここ5年の平均と同じ数値に留まった。


KreydenweissのKastelbergのエレガンスは今なお健在。中々素晴らしいワインがまだ残っていそうだ。



1994年 成否はアペラシオンごとに異なった(9月後半の雨)

 発芽は4月で、雨がちだったが、開花は早かった(6月8日)。開花時期にとても素晴らしい天候が続き、多くの葡萄は素晴らしい実をつけた。雨は夏の前半のとても良い時期に降り、6-7月と気温が上昇し、葡萄の実がとても大きくなった。Gewurztraminerを除く他の品種は、房の量が異常なほど重く(+50%)なった。このような状態に対処して、しばしば生産者はエクラリッサージュを行った。8月には葡萄の成熟が進み、当然の事ながら、偉大なミレジムへの期待がよせられた。9月3週目以降の異常な雨の時期が、ほとんど熟していた葡萄の実を腐敗させてしまい、収穫指示がもうすこし早めに下されなければならなかった。9月降った雨は120-150mmを記録するもので、灰色カビ病が蔓延した。

 収穫指示
Crémant&Alsace pour Auxerrois: 9月16日
Crémant(tous les cépages)&Alsace&Grand Cru: 9月19日
Alsace&Grand Cru(Gewurztraminer,Riesling,Chasselas,Sylvaner): 9月28日

 9月の雨の期間のあと、大変幸運にも10月からそれ以降のシーズンに太陽が戻った。GewurztraminerとTokay Pinot Grisは先年にも比する高い糖分となった。VTとSGNは素晴らしい年となった。

収穫量は1236000hl。平年よりも6%上昇。Crémantは記録的数値。


Rolly-Gassmannの古いGewurztraminerのSGNを飲んだ事があるが、熟成の絶頂期といった感じで、甘さが飛んで、辛口のメインディッシュ用ワインのようであった。Michael Broadbentは収穫を10月まで待った造り手が成功したと記している。



1995年 対照的なミレジム

 開花は長引き、かなり遅めとなった(6月3週目以降)。とても寒く、雨がちの天候で、多くの区画で、ミルランダージュが発生した。7月は打って変わって晴天が続き、陽光の照る夏となった。良い収穫が期待されていた後、残念なことに9月になってから、雨がちな異常な天候となり、実の成熟が進む途中にも関わらず、収穫指示が取り急いで下された。

 収穫指示
Crémant: 9月21日(Auxerrois、Chardonnay)、9月25日(Pinot Blanc、Pinot Noir、Pinot Gris、Riesling)
Alsace&Grand Cru: 10月5日

 栽培家はこの気まぐれな天候を前に奮闘し、多くの畑で選果を決行し、品質を守った。しかしながら、10月の最後の2週間の収穫においては、糖分と酸味が凝縮して、素晴らしい結果となった。全体的にこのミレジムにおける収穫は、北部と南部でかなり均等さに欠くが、量よりも質の年となった。Rieslingが素晴らしい成果をあげ、Pinot系品種、特にTokay Pinot Grisはとてもリッチで期待ができるものとなった。VTとSGNも多く造られた。

 収穫量は1089000hl。

JosmeyerのPinot Gris'95、FondationとSGNは、今とても張りつめたミネラルと素晴らしい酸味の入り交じった、偉大なる白ワイン。ただし、JosmeyerのGewurztraminer HengstとHumbrechtのGewurztraminer Clos Windsbuhlはややイマイチ、下り坂で、この品種はよくなかったのかもしれない。



1996年 湿潤だが、とても良いミレジム

 ここ数年、あまりパッとしないミレジムが続いたが、生産者にとって満足のミレジムとなった。

 春の期間はとても難しかった。先年よりもやや遅れがみられた。発芽は遅く、開花は上手くいかず(特にGewurztraminer)、5月から8月までの間の天候は涼しげであった。かなりハラハラさせられた天気であった。しかし大変幸運にも衛生状態はとても良くて、1985年を想起させられるものであった。収穫が近づくにつれて、酸味はますます上がり、10月の陽光と乾燥した天候が葡萄の良い熟成を助けた。

 収穫指示
Crémant: 9月25日
Alsace&Grand Cru: 10月7日

 乾燥した天候と素晴らしい衛生状態が、多くの生産者をして葡萄がより熟するのを待たせた。この判断はPinot系品種にとって素晴らしい成功をもたらすことになった。Pinot Noirは色調濃く、Tokay Pinot GrisとPinot Blancは力強く、とても繊細なアロマを持っている。糖度と酸味のバランスはそてもデリケートで素晴らしいものがある。GewurztraminerとRiesling、Sylvanerは爽やかな酸味がこのミレジムの特徴で、区画ごとに量と質の差が激しい。Gewurztraminerは収量が少なく留まった。朝方に霧が多く発生したのでVTとSGNが多く造られ、素晴らしいミレジムとなった。

 収穫量は1170000hl。先年より8%の上昇。


 Pinot Grisの『トリュフの香り』で有名なミレジム。なぜ、Pinot Grisがキノコ系の香りが出るのか、それは、灰色カビがつき易い品種であるからに他ならず、それが高貴なイメージをまとった時に、キノコの香りは『トリュフの香り』に変化する。今まで飲んだすべてのPinot Gris'96にはこの香りが顕著。



1997年 歴史的なミレジム

 生産者にとって1997年の品質はとても満足のいくものであった。
 春はとても陽光が照って、暑かった。冬と、さらに春に期間に霜の害があって、発芽がかなりイレギュラーに起こり、幾つかの品種(特にGewurztraminer)で、花ぶるいが生じた。開花は6月10日と、二週間近く早かった。6-7月と湿った季節が続いて、成長のスピードは平年なみに戻った。8月は再び暑く、陽光の照る日々が戻った。葡萄の成熟期間中、雷雨が2-3週間続いたのみだった。

 収穫指示
Crémant: 9月18日
Alsace&Grand Cru: 10月1日

 結果的には、このミレジムの品質は9月の天候状態に起因するといってよい。太陽の日差しの強さはあらゆる衛生上の不安を追い払うのに十分で、場所によって、腐敗と雹の害にあった場所もあったものの、温暖で、乾燥した天候が続き、収穫はとても素晴らしい結果になった。9月におけるColmarの天候観測所では総日照時間が253時間を観測したほどである。1989年の159時間と比べても、驚嘆すべき数値である! 夏の期間の貯水量の多さがこの年の後半に幸いした。
 すべての品種を収穫する際にも、素晴らしい天気が続き、葡萄は成熟し、1989年をも上回り、糖度と酸味のバランスがとても良かった。Sylvanerは円やかでエレガント、Pinot BlancとTokay Pinot Grisはリッチで、構成感があり、度々、過熟気味になったワインをみかける。Rieslingは、気品に満ちた花のアロマがあり、強い酸味の凝縮感がある。Gewurztraminerは丸く、チャーミングで、よく熟した典型的なエキゾチック・フルーツのアロマがある。Pinot Noirは色調濃く、タンニンもよく熟れている。VTとSGNはこれまでに生産したことがないほどの量を産した。


 収穫量は1204000hl。


 非常に良い思い出の多いミレジム。力強く、アロマティックなワインを沢山試飲した。Christian BinnerのGewurztraminer VTやKreydenweissのClos de Val d'Éleonなどのエレガンスとバランスは素晴らしい。



1998年 質と量が揃った年

 9月に降った雨は、生産者の決心を必ずしも鈍らせず、彼らは懸命にも平静を保ち、その結果として偉大なミレジムを生み出すことに成功した。

 思うに既に非常に乾燥して陽光の照った5月がその素晴らしいミレジムへの予兆を示していた。この早い成長を緩めてはいけなかった。7月の天候は平均的であったが、8月は猛暑になり、あまり見られない葡萄の実のブルリュール(強い日差しで実が焼け焦がした状態になること)が発生した。最初に糖度の値が熟して非常に高くなり、この年は近年で最も早い収穫年の1つとなった。


 収穫指示
Crémant: 9月15日
Alsace&Grand Cru: 9月24日

 9月の雨が成熟を遅らせ、ボトリティスの活動を活発化した。
 Muscatは早めの収穫で、円やかさとピュアなアロマをもったワインとなった。Pinot系品種、Sylvaner、Rieslingは先年に似た年になった。これらのワインはとても真っすぐで、アロマティック、そしてバランスが良い。早く摘むことを心配された割に、酸味はとても高い。Tokay Pinot Grisはとても凝縮して、Gewurztraminerは一律に強いアロマを持ったワイン。Crémantの収穫量は今年も伸び続け、この年はRieslingをブレンドした造り手は、高い酸とのバランスを獲得することに成功した。VTとSGNは去年の記録的な数値には及ばなかったものの、史上はじめてSGNがVTの数値を上回った。後半のシーズンの貴腐の活発化がその理由である。(訳注;CIVA内の複数の資料に矛盾があって、SGNがVTを本当に上回ったのか確認ができない)

収穫量は1211000hl。 少しだけ上昇。VTが10856hlであるのに対し、SGNは10929hl。


 忘れ難き、KreydenweissのKastelberg'98の強靭な味わい。Alsaceに行きたいと強く思い描くきっかけとなったワイン。その鋼鉄の意志と、驚嘆すべき精神をもった味わいは、偉大なミレジムに偉大な土壌が揃わないとなし得ないと感じたのだ。



1999年 質、量ともに満足

 雨が持続的に降ったにもかかわらず、冬と春の天候状態は比較的良かった。発芽は4月13日ごろで、開花は6月17日、ヴェレゾンは8月16日という記録となった(INRA Colmar)。葡萄の成長状態は特に問題なく進んだが、7-8月に雨がの日が続き、ベト病の攻撃があった。収穫の直前、畑は3週間の太陽のシーズンを迎え、気温が上昇して、葡萄の成熟度はとても満足いくものであった。この年から新しいAOC Alsace法が用いられ、品種ごとの収量制限を設けることが、このミレジムの成功の鍵となった。

 収穫指示
Crémant: 9月20日
Alsace; 10月4日
Grand Cru: 10月7日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月18日

 衛生状態が素晴らしい状態であったが、品種ごと、区画ごとの成熟状態は不均等であった。すべてのワインはバランスはとてもよくなった。Sylvanerは偉大なミレジムに数えられる。Pinot Blancは素晴らしいCrémantを生み、特級のRieslingはテロワールの味わいを見事に表現した。Muscat、Pinot Gris、Gewurztraminerは典型的な品種のアロマティックさを出した。Pinot Noirは力強く、色調濃い。10月の天候はきまぐれで、収穫期間を伸ばさざるを得なくなった。

 収穫量は1228000hl。1.4%上昇
特にCrémantの収穫量が非常に増えた。VTとSGNは合わせて21000hl。


 気まぐれな年なのか、この年のワインで、まだ良いのには当っていない。過熟ぎみのワインが多い?Bourgogneの白があれほど偉大であるのとは大違いである。




2000年 時代を画するミレジム!

 あまり冴えない冬のあと、春は暑く、陽光が照った。発芽は4月20日ごろ。よい天候が続き、開花はとても早く開始(6月6日前後)し、とても早く終わった。平年より3週間近い早めの生育が進んだ。6月は暑く乾燥していて、夏までの間にとても良い状態を迎えた。7月と8月に入って天候は崩れ、冷涼で雨も降が降る天気になった。病原菌が蔓延することも多く、葡萄の成長は阻害された。その内、太陽が戻ってきて、ワインの品質は幾分か救われた。生産者の多くはグリーンハーヴェストを実践した。

収穫指示
Crémant: 9月11日
Alsace&Grand Cru: 9月21日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月2日
AOC Alsaceは新たなる収量制限がなされた1999年の後、特級にも新たなる制限が課されるようになった

 9月半ばに太陽が照った状態での収穫が続けられた。衛生状態はそこまで悪いものではなかった。成熟してバランスのとれた葡萄になり、品種ごとの個性のでたものになった。Sylvaner、Pinot Blanc、Auxerroisはとてもフルーティーで、Gewurztraminer、Pinot Noir、Pinot Grisはとても凝縮している。2000年はRieslingにとってとても良いヴィンテージである。早く成熟したにも関わらず、多くの生産者はVTとSGNも多く生産した。

収穫量は1210000hl。
AOC Alsaceは1000000hl、Grand Cruは50000hl、Crémantは160000hl。VTは19000hl、SGNは11000hl。

 売り上げの先年比は-2%となった。


 試飲した記憶が、少なくなってきた年代にさしかかる。HumbrechtのRangen PGは、ボトリティスのニュアンスの強いものだった。



2001年  新しい世紀を飾るに相応しいミレジム

 冬の間はとても厳しかった。発芽は4月10日ごろで、畑は平年どおり成長していった。5月と6月の強い雨期に病原菌が蔓延したが、生産者はこれをよく抑えた。開花は6月10日ごろから25日まで伸びて、6月18日の寒い時期に重なった畑もあった。Muscatの受粉が上手くいかず、1/3しか成功しなかったとRené Muréの記事にある。夏の期間は陽光が照り、猛暑と雨がちの天候が代わる代わるやってきた。雹を伴う雷雨が畑を襲ったときもあった。全体的にみると、平均よりも気温は低めである。特に8月にその傾向がある。成熟はやや遅れた。

 収穫指示
Crémant: 9月17日
Alsace&Grand Cru: 10月1日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月15日
2001年からの新しい法令に従い、15の特級畑に収量制限強化、最低アルコール値の上昇などが守られた

 9月の不機嫌な天候が偉大なヴィンテージへの期待を薄めた。しかし幸運にも、造り手は10月の素晴らしい天候を享受することができた。収穫の期間はすばらしく温暖な天気が続き、ほとんど雨が降らなかった。実の成熟が遅れたことと反して、酸味はしっかりと保持されていた。Pinot Blancの衛生状態は完璧で、素晴らしいCrémantが造られた。Sylvaner、Muscat、Gewurztraminerはとてもアロマティックで、大成功をおさめた。2001年はRieslingのヴィンテージである。美しい濃縮感とフレッシュ感を保持することに成功した。Pinot Noirは、衛生状態がとても良かったために、色調がとても濃くきれいになった。Tokay Pinot Grisも収穫の日次第でとても美しい結果を残した。VTとSGNの収穫量は増えた。この年からこの二つのカテゴリーの最低糖度が引き上げられた。

 収穫量は1217000hl。
AOC Alsaceは1010000hl、Grand Cruは48000hl、Crémantは160000hl。VTは15500hl、SGNは2800hl。

 売り上げは平均的だった。しかしCrémantの売り上げは非常に上昇し、28%アップとなった


 TrimbachのRiesling Cuvée Frédéric Emile'01など、忘れ難い偉大なワインが沢山ある。フレッシュで、品格のある、偉大なミレジムである。2001年1月24日の法規制改定(Décret)で、Alsace Grand Cruの品質を押し上げるための法律が強化された(品種、収穫日時の正確化、区画、品種ごとの最低糖度の設定など)。この改定はさらに年ごとに条項が追加されていった。


2002年 不安定な天候だったものの、良いミレジムとして満足の出来

前年の冬と異なり、'01-'02年間の冬の天候は厳しかった。1月中ずっと、霜が大地に留まった。春は雨と太陽が交互にやってきて、葡萄の成長は遅かった。4月の平年通りの頃合いに発芽し、以降は通常の成長にもどった。6月の理想的な天候のもと、開花が一斉におこり、先年よりも早摘みの状態が整った。夏の間は、暑い期間と湿気がちの期間が交互にやってきて、これがベト病の蔓延を許した。8月後半から9月中盤にかけて葡萄の成熟は順調で、先年よりも早い生育が確認された。多くの生産者はエクラリッサージュを行った。

 収穫指示
Crémant: 9月16日
Alsace&Grand Cru: 9月30日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月14日

 10月はじめの太陽を待つものもいて、生産者ごとに収穫開始の日が異なる。
成熟面では素晴らしい状態であったものの、きまぐれな天候状態が、葡萄の腐敗を招いた。区画ごとにことなっているものの、腐敗の多い場所では選果がなされた。早い成熟と優れた技術が、品質の鍵となった。灰色カビになったか、貴腐になったかは、8月にいかに収量を減らす努力をしたかにかかっているとRené Muréは考察している。
 Rieslingはアルコールと酸のバランスが良く、長い熟成の可能性をもったものとなった。Sylvanerはフレッシュで、Pinot Noirはとてもフルーティーである。

 収穫量は1223000hl。
AOC Alsaceは1013000hl、Grand Cruは44000hl、Crémantは165000hl。VTは10000hl、SGNは2000hl。

 売り上げは1147000hlと1.8%上昇


 早飲みワインが多そう。なかなか開かないTrimbachのClos Saint Huneが今とても美味しく飲めてびっくりしたものだ。HumbrechtのWindsbuhlはボトリティスのイメージがあるためか、濃密でとても美味しい。



2003年 驚嘆のミレジム

猛暑の夏は、Alsaceにとってびっくりするような早熟性を葡萄にもたらした。このような現象は1540年に遡るまで、見いだされないことであった!

'02から'03にかけての冬は厳しく、とくに1月から2月にかけて長い霜の降りた期間があった。3月には天候はよくなり、4月前半に発芽が始まった。春に霜(雪?)が再び降り(4月10日)、早く芽を出した樹に被害があった(Pinot Noir,Muscat,Gewurztraminer)。このダメージは次の年のための芽にも被害を与えた物がある。5月、6月と天候が戻り、開花は平年の3週間近く早くなった(6月3日)。夏の間は非常に暑く、乾燥した。降雨量は低いか、全くなくて、畑では貯水した部分を求めて、深く深く根を下ろした。軽い土壌のもとでは、成長が妨げられた。その間、雷雨と雹の被害を受けた地区も存在する。8月には気温は40度を越え、それが15日近く続いたのである!


 収穫指示
Crémant: 8月25日
Alsace&Grand Cru: 9月8日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月15日

 夏期の異常な乾燥のあと、衛生状態は完璧であった。マストの酸度は低く、EU内では例外的に補酸が許された。この不慣れな状況での醸造は難航したものの、びっくりするようなワインも生まれた。SylvanerとMuscat d'Alsaceは印象的な完熟の葡萄の特徴を示し、8月に急いで収穫されたPinot BlancとAuxerroisの酸味はすぐに落ちた。軽い土壌のRieslingは9月に降った雨に少し助けられ、成熟が再開され、素晴らしい成功を収めた。Tokay Pinot GrisとGewurztraminerはリッチで、酸が少ない。Pinot Noirはとても色調が濃く、この特殊な天候において素晴らしい結果を得た。Rieslingをなどは酸不足(つまり水不足)に悩み、収穫を待つあまり、René Muréは10月24日までかかったという。

 収穫量は1004000hlで、平均値より18%減少となった。
AOC Alsaceは822900hl、Grand Cruは40500hl、Crémantは140000hl。VTは15400hl、SGNは1000hl。

 売り上げは2.9%減少


 このミレジムのワインを判断することは未だ難しい。酸味の少ない甘口ワインをよく飲んだが、フィネスに欠くものが多い。



2004年 調和の再開

 2003年の異常な天候の後、2004年は通年通りのスタイルに戻った

 冬は典型的な寒さで、1月末に暖かくなってきた。しかしながら、雨不足がちとなった。春になると天候は変わり易く、雲がちであった。発芽は4月中盤に起こり、乾燥した天気は続き、2003年と同じような状態になるのではないかと危惧されはじめた。6月中旬、雨と開花が同時におこった。この湿気がちの天候はウドンコ病を育て、畑では多くの注意がなされた。7月には多くの造り手がグリーンハーヴェストを行った。8月は対照的に雨がちで、9月前半になって高気圧が戻った。葡萄は成熟し、衛生状態も良かった。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月20日
Alsace&Grand Cru: 9月30日-10月11日
VTとSGNは通常の収穫指示の後の最低2週間しか収穫できなかった

 収穫前半の頃は、葡萄の素晴らしい成熟と完璧な衛生状態で、総酸度は平準値になった。Crémantは大変、繊細なものとなった。素晴らしいフレッシュ感があり、Alsaceのアペラシオンにとって典型的なワインとなった。バランスが良く、繊細でアロマティックな、Sylvaner、Muscat、Pinot Blanc、Rieslingが生まれた。Pinot Blanc、Rieslingは最も素晴らしい結果となった。Pinot Noirは色調濃く、'03よりも淡めとなったが、強くエレガントである。フルーティーではあるものの、Gewurztraminerと特にPinot Grisは後半の雨に苦しんだ。10月20日から雨があがり、貴腐のつく条件が揃い、早急に収穫された。

 収穫量は1263564hlで、5年間の平均値より7.4%上昇となった。
AOC Alsaceは1003183hl、Grand Cruは45435hl、Crémantは214946hl。VTは11059hl、SGNは1465hl。

 売り上げは3.6%減少


 HugelのJubiléeやValentin-ZusslinのRiesling Clos Liebenberg。繊細で、きめ細かい香り。




2005年 表現力豊かな、熟成力をもったワイン

 この年のVTは12月まで収穫が続けることができた。つまり、この年の天候はそれほど良好だったということである。

 冬は典型的なもので、前年の12月から、この年の1月にかけて、霜が降り、産地では雪が沢山積もった。しかしながら降水量自体は低く、'04年の10月から'05年の3月にかけての降水量はたったの150mmに留まった。4月は温暖で、雨が降り、発芽には好都合であった。5月後半に開花がはじまると、ちょうどその期間に猛暑になり、30度にまでも達した。6月中盤から7月後半にかけて非常に温暖な天候で、葡萄は順調に成長した。多くの造り手はグリーンハーヴェストを行い収量を抑えた。8月前半が、快晴であったとすれば、後半はこのシーズンにしては涼しく対照的な天候であった。この天候条件は酸味を保持することに寄与した。8月末には好天気が舞い戻り、衛生状態の完璧な葡萄は完熟に向かった。

 収穫指示(CREVA)
Crémant: 9月7日
Alsace&Grand Cru: 9月22日
特級の品質を保持するために、収量を減らすことに決められた

 葡萄は完熟し、酸味は、酒石酸の形で保持された。10月から大雨が降り、収穫が案じられたが、最も繊細な葡萄から摘む事でリスクは回避された。Crémantはフルーティーでフレッシュだが、対照的に軽い土壌で水分不足なRieslingは成長が阻害された。Pinots系品種はバランスよく、果実味に溢れている。Gewurztrainerはとてもアロマティックである。10月6日から20日にかけて、雨が少なく、朝は霧がちで、昼間に快晴となり、素晴らしい貴腐がついた。VTとSGNは大変素晴らしい。

 収穫量は1155000hlで、- 8.6%減少となった。
 スティル・ワインは881000hl、スパークリングワインは、274000hl。


 リッチなヴィンテージ。よりアロマティックなPinot Gris、よりスパイシーなGewurztraminer。RieslingはSipp-MackのOsterberg'05など重い土壌では素晴らしいワインの表現が生まれている。この年からGrand Cru Altenberg de Bergheimにおける品種の混植が認められた(Deissの働き)。さらにMittelbergheimのZotzenbergにてSylvanerがMuscatの変わりに特級に昇格。



2006年 非常に難しいミレジム

 非常に難しい年であったことは確かだが、各種の技術によって、驚かされるものにも出会えるだろう

 発芽は4月25日と遅めであった(50-80年代に匹敵する遅さ)。それにも関わらず、6月の太陽の恩恵によって開花は平年どおりに始まった(6月19日ごろ)。6月29日に雹を伴う雷雨が降り、畑が痛み、果肉に圧迫感が与えられてしまった。7月の熱気は、成長を早めた。8月は雨がちで、8月20日ごろに腐敗の兆しがあらわれた。成熟は9月の二週間での間でなされた。

 収穫指示
Crémant: 9月11日、ただしRiesling9月18日
Alsace&Grand Cru: 9月25日、ただしRieslingとGewurztrainerは9月27日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月11日

 雨と、時折の雷が9月24日から10月の最初まで続いた。この雨よりも前に収穫できなかった区画の葡萄は、変質してしまった。注意深さと醸造技術を駆使した造り手が、ある一定の品質のものを生み出した。非常に多くの努力と、注意深い選果、そしてマストの清澄化に励まなくてはならなかった。
 Crémantは最も早かったPinots系品種の場合、雨を免れたのでエレガントで構成がしっかりとしたものができた。白ワインは香り高く、酸味がある。円やかで口当たりのさっぱりした、若飲みタイプのワインになった。Pinot Noirは軽口でフルーティーなものになった。VTは少ないが、とても成功したものもあり、特にGewurztraminerは1O月の陽光を享受した。

 収穫量は1081000hlで、8%減少となった。
 スティル・ワインは857748hl、スパークリングワインは、223942hl。

 売り上げ。2.3%上昇。フランスは1%だが、国外は6%となり、Crémantは8.4%上昇。


 かなり難しいミレジム。多くの優良Domaineでは、普通のキュヴェや特級を断念して、なんとかVTだけを造ったところが多い。Pinot Grisは『キノコの香り』のするタイプ。



2007年 待望のグット・ヴィンテージ!

2007年は偉大なミレジムの一つに数えられるだろう!

また1つ、変わったヴィンテージであった。温和の冬のあと、春はとても暑い天候であった。素晴らしい熱気が発芽を早め、さらに、開花は5月25日前後に始まった! 6,7,8月は雨がちな天候になり、どちらかというと冷涼であった。このハーフトーンの天気は、春先の成長の先行の一部を、覆いかぶしてしまった。しかしこのような天候が、すべての葡萄の成熟をゆっくりとさせて、果実味とフレッシュ感を保持することができた。


 収穫指示
Crémant: 8月22日、ただしRieslingとChardonnayは8月27日
Alsace&Grand Cru: 9月5日、ただしRieslingとGewurztrainerは9月10日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月19日

 Crémant d'Alsaceの収穫時は、とても天候に恵まれた。9月になって、高気圧がやってきて、素晴らしい月を迎える事になった! 温暖な日中と冷涼な夜間が続き、ほとんど降らなかった雨が、好意的な成熟を約束した。完熟して、衛生状態も完璧な葡萄が収穫された。質と量の多い年となった。
 Pinot Noirは小さな赤果実味(グロゼイユからブラック・チェリー)にしっかりとした色付きがある。Pinot Grisは特に成功し、力強く、蜂蜜の香り、そして熟した酸度が味わいを支えた。もしもRieslingがもう少し成熟を必要としたとしても、とてもフルーティー(柑橘類)で、エレガンスとフレッシュ感を備えている。SylvanerとPinot Blancは典型的なヴィンテージになった。Gewurztraminerは最も成功したヴィンテージの1つである。リッチで濃密、そしてアロマティックである。2007年はすべての品種がとても素晴らしい結果となった! さらに素晴らしい天候は続き、VTとSGNも造られ、1997年の記録すら更新されたのである!


 収穫量は1151749hlで、6.5%%上昇となった。
 スティル・ワインは916044hl、スパークリングワインは、235705hl。

 売り上げ。0.8%上昇。フランスは0.4%だが、国外は2.1%となり、Crémantは8.4%上昇。


 全体的にエレガントで、酸味の美しいミレジム。HumbrechtのWindsbuhl Riesling、Sipp-Mack Rosacker、Schlumberger Kessler RieslingやSeppi LandemannとRené MuréのPinot Grisなど、繊細でアエリアンなイメージを描くワインに完成度の高いものが多い。この年から、実力があるとされながら、ずっとAlsaceのLieu-dit扱いだったAmmerschwihrのKaefferkopfが弟51番目の特級に昇格した。この畑ではGewurztrainerとRiesling、Pinot Grisを主体にしたものであれば混植が認められた。



2008年 とても良い、典型的なミレジム(9月14日の風)

2008年というヴィンテージはカテゴリー付けするのが難しいとしても、すべての生産者にとって、満足のいく年となった。フレッシュ感と果実味の高さ、衛生状態も考えていたほど悪くなく、いろいろな点で偉大なヴィンテージとなった。天候状態と成熟はかなり特殊であった。2008年は2000年以前のクラシックなヴィンテージに近い性質のものであった。
冬と春の混沌とした冷涼な気候が、発育の早い場所と遅い場所に決定的な差異を生み、発芽は4月の後半、つまり平年よりも10日近く遅く始まった。5月は例外的に暖かく、発育が進み、少しだけ遅れを取り戻した。開花は6月15日ごろだったが、15日間ほどの湿気がちで寒い天候が生育を遅らせた。このことは更に、生長の早い場所と遅い場所の差異を決定付け、さらにベト病の発生に対して重要な場所を提供することとなった。夏は冷涼な期間と温暖な期間が代わる代わるやってきて、雷雨が強く、かなり荒れた時もあった。猛暑にはならず、アロマと酸味を保持するのに理想的であった。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 9月15日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月25日月曜日
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月9日火曜日

 衛生状態よりも不均等な成熟状態を念頭においた上で、早く成熟したブドウから収穫が始められた。
9月の最初の二週間は湿気がちで、特に9月13日に大雨が降った。幸運にも次の日は冷涼ではあったが、陽光が照り、風が強く、ブドウを乾燥させ、腐敗を防いでくれた(訳注;Bourgogneでもまったく同じ現象があった事を覚えている)。収穫がはじまってからは乾燥して、晴れの日が続き、非常に天候に恵まれた。Crémantは繊細かつ清潔で、とても素晴らしい結果になった。Gewurztraminerもとても良い。収量は低く、フレッシュ、ピュアで、典型的なアロマをもったワイン。SylvanerとPinot Blancは芯がしっかりとして、綺麗。Muscatはアロマティックだが、Ottonelはおおく結実不良になり、収量は減った。Rieslingの成熟期間はとても長かったが、特級の品質の高さは飛び抜けている。Pinot Noirは後半の天候に助けられ、色素と果実味が増した。Pinot Grisの衛生状態は場所によってかなりばらついた。しかしながら2007年にくらべて、過熟のニュアンスはないが、フルーティーでスモーキー、さらに素晴らしいバランス感がある。10月の素晴らしい天候は多くのVTとSGNを産し、偉大なる熟成ヴィンテージとなった。

 収穫量は1131443hlで、1.8%減少となった。
 スティル・ワインは882668hl、スパークリングワインは、248775hl。

 1130000hlの売り上げ。0.7%上昇。フランスは1.4%だが、国外は-1.5%となり、Crémantは223000hlで、フランス国内4.8%、国外14.3%増となった!


 Alsaceでも最も完成度の高いミレジムと多くの生産者は言う。Kastelberg'08の軽やかでまとまったバランス、Meyer-FonnéのPfoeller Rieslingなど、偉大なアロマとバランスをもったワイン。



2009年 早い成熟、完璧な衛生状態、高い果実味

 発芽は遅かった。しかし4月〜5月の天候が非常に早く上昇したので、開花は早く、6月上旬であった。結合期間も快晴が続いた。7月は少し陰鬱な天候であったが、8月はとても暑く、陽光が強く、ブドウの成熟に良好なコンディションが整った。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 8月31日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月14日月曜日(1-2週間後;Kaefferkopf&Bruderthal&Altenberg de Bergheim&Kanzlerberg)
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 9月28日火曜日

 9月は日中はとても暑かったが夜は涼しく、9月後半は、アロマの成熟にとっても最も理想的な状態となった。水分不足の所為で、軽い土壌では成熟が遅れ、強いストレスを与えた。それでも、すべての品種の衛生状態は完璧であった。こんなことは滅多にあることでないと、醸造家は言ったものだ。収穫期には完璧な成熟状態にあった。一般的に、アルコールが高く、収量高く、酸味も多い。2009年は若くから楽しめるワインになりそうである。

 Crémantは偉大な年に数えられる。一昨年前のMuscatの花ぶるいのダメージを補ってあまりあるものであった。弾けるような果実味のあるワインとなった。Sylvanerは良く熟した白果実のノート。Pinot系品種はとても偉大である。Pinot Blancはフレッシュでアロマティック、特にPinot Noirは、タンニンが熟し、柔らかく、深い色調になった。Gewurztraminerはとても素晴らしい結果になった。収穫時に皮はとても濃くなり、スパイシーな性質となった。Rieslingは果実味あふれ、柑橘類とフローラルな特徴となった。Rieslingは重い丘のテロワールにあって、素晴らしいフレッシュ感をキープできた。10月の天候のお陰で、VTとSGNは多く、パスリヤージュ的特徴が残った。

 収穫量は1166900hlで、2008年に比べ、3.1%上昇となった。
 スティル・ワインは916600hl、スパークリングワインは、250300hl。

 1116000hlの売り上げ。1.2%上昇。フランスは0.8%だが、国外は+7.1%となり、Crémantは239000hlで、7.1%上昇。

 難しいミレジム。酸味のなさというよりも、苦味がワインに残りがちなのが問題。しかも区画ごとに熟成度がことなり、冷涼なパーセルは比較的フレッシュで成功したようだ。造り手によっては15%までもアルコールが達し、そのようなワインにはさすがに辛いものを感じる。



2010年 少ない収穫量と、素晴らしいフレッシュ感


 栽培が非常に複雑で、難しい年だった。これだけ、気候に左右されたことは珍しいぐらいであった。
 前年の冬は非常に寒く、12月19日ごろにはColmar周辺で-20°を観測し、若い樹の区画に損失があった(芽が霜の害にあった)。特にGewurztraminerに被害があった。発芽は遅く、4月中旬であった。5月初旬は冷涼で雨がちとなった。5月後半から天候は持ち直し、平年なみとなった。開花は6月20日ごろで、霜と発芽が不均等であったために、畑によってかなり開きがあった。受精の期間は天候が芳しくなく、かなり混乱を招き、花ぶるいとミルランダージュ(特にMuscat OttonelとGewurztraliner)が多かった。続く7月前半はとても暑く、成熟を早め、衛生状態はよくなった。糖分は非常に濃縮し、酸度も高い状態での成熟が続いた。しかしながら、混乱した天候の所為で品種ごと、畑ごとの成熟度はまばらであった。樹勢が低くなり、ボトリティスの攻撃を防ぐことには成功した。

 収穫指示(CRINAO)
Crémant: 9月13日月曜日
Alsace&Grand Cru: 9月27日月曜日(1週間後;Kaefferkopf&Pfingstberg、2週間後; Altenberg de Bergheim&Kanzlerberg)
Vendanges Tardives&Sélection Grains Nobles; 10月12日火曜日

 9月15日頃から湿気が消え、太陽がもどってきた。酸度は高まり、糖分は急激に上昇した。2010年のワインは、フレッシュでフルーティーになり一般に認識されているアルザス・ワインとなり、熟成の可能性を示唆するヴィンテージである。アルザス全体において、品種によってはかなり収量が減った。テクニック(特にシュール・リー)によるエレヴァージュで、素晴らしいバランス感のあるワインが生まれれた。

 とても重要なフレッシュさを保ちつつ「完熟」した、Crémantにとってとても素晴らしいヴィンテージである。MuscatとPinot Blancは弾けるような果実味に溢れている。Pinot Noirは果実味に富み、色調濃く、素晴らしい抽出がなされた。Gewurztraminerの収穫量がかなり低い年になった。しかしながら、この品種の果実味はとても素晴らしく、フローラル(バラ)である。'09よりスパイシーさが少ない。力強さとフレッシュ感が見事に共存している。Pinot Grisは病害の危機を免れた。とても繊細で、フルーティー、熟した果実(洋梨)がバランス良く溶け合っている。Rieslingの収量も低く、フレッシュで、柑橘系の香りに満ちていて、熟成型となった。一般的に低収量の年には貴腐が多くなるにも関わらず、この年のVTとSGNは少なめに留まった。それでも、素晴らしい品質の甘口ワインとなるであろう。

 収穫量は911950hlで、2009年に比べ、21.8%減となった。
 スティル・ワインは670880hlと26.8%減で、スパークリングワインは、241070hlと3.7%減となった。

 1100000hlの売り上げ。1.5%上昇。フランスは-2.8%だが、国外は+2.5%となり、Crémantは243000hlの上昇。


 まだあまり試飲経験は少ないが、チャーミングで、フローラルなミレジムの印象。熟成は中ぐらいではないだろうか。





ミレジムの性質は、ワインの味わいを支配する
土壌が制限し、人が如何にコントロールしようと望んでも、天候状態がワインの中に強く封印される
1996年のトリュフのイメージ、2001年の伸びやかな酸味、2003年の濃度と厚み。
造り手を越えて、土地の個性を越えて...。
我々がミレジムの記録をつけ、エティケットにその生まれた年を載せるのは、消し難いミレジムの記憶を思い起こすため、自然が残したそれぞれの時代の思い出を確認するための作業なのである


[ 2011/12/25 18:43 ] ミレジム | TB(0) | CM(0)

Pourriture Acide(酢酸腐敗)

ワインの味わいのメカニズムをより理解するためには、葡萄畑を知らなければならない
その中で、醸造家の栽培哲学、栽培にあたっての心得を知る事はとても重要なことであるように思える
栽培に関する知識は、いまいち、一般のワイン書には載っていないテーマであるが、このブログでは敢えてそのようなマイナーなテーマを掘り下げてみたいと思っている

今回は、アルザス地方やドイツで多い腐敗である酢酸腐敗について調査してみた
内容の多くは Alain Reynier著の Manuel de viticulture 10e édition(Lavoisier社)に準拠している



 Pourriture Acide

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 Pourriture Acide(酢酸腐敗)は、1899年に、Joseph Capus(病害についての多くの書物を残し、AOC法とINAO成立に関わった人物)によってSauterneにおいて確認された病気である。多くの国(アメリカ、チリ、イタリア、スペイン、ウルグアイ)で見られ、フランス内でも多くの地方(Alsace,Ardèche,Vaucluse,Gard,Var,Bouches du Rhône)に及んでいる。収穫の際に湿気の多い畑で発症しやすい。特に、1982年、1987年、1990年、1991年、1992年、1997年、1999年に多く発症。



 夏の期間に、白ブドウの色が赤いレンガ色を、赤ブドウが紫がかった茶色を帯びる事がある(最も頻繁に見られるのが、列の端の樹もしくは、隅の列)。最初、ブドウの実の皮がすべすべした状態になり、次ぎに果肉が急速に果汁の色を残しながら溶液化する。
 この現象は、1)ショウジョウバエ(Drosophiles、果実の虫、もしくはヴィネガーの虫)の成虫が実のまわりに大量に飛び交い、2)ショウジョウバエの幼虫もつぎつぎと発生し、3)ツンと刺すような酢の匂いが辺りに漂うようになる。
 傷つけられた実の中身は次第に空になっていく。病気の悪化の後、渇いた天候になると、果梗に残るのは膨れ上がって硬く、ミイラ化した皮だけが残る。被害は夏の間に現れ、色付きから収穫の間の雨がちな期間に見られる。この病気の進行を見つけ出すためには、ブドウの実の内側をよく観察しなければならない。手につかむと、すぐさま実は弾け散ってしまうようになる。

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   蜂によって傷つけられた実は、腐敗の原因となりやすい

被害

 1. ブドウへの直接の被害;大なり小なり、収量の減少。衛生状態が悪化し、実の形が変成し、良くないヴィネガーの香りが立つ。
 2. マストとワインへの間接的被害;マスト内の揮発酸の値が上昇(通常の2-4倍)。発酵は清潔なマスト以外のいつものと異なる酵母によるものになる。ボトリティスや、二次的細菌の影響も累積されて、グルコン酸の値が増える。収穫の際の酸の腐敗の状態によってワインは、MLF後に揮発酸の値が2-3倍にまで上昇し、消費用には適さず、結果として酢になることがある。Pyrénées山脈東部のMuscatは、この病気によって潜在アロマがなくなることが発見されている。選果と醸造テクニック(8-10g/hlの硫黄添加、アルコール発酵が始まるまでに選択酵母を使用、発酵後にMLF用のヴァクテリア添加)を行なう事によって、この大半の部分を取り除ける。

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 傷口から腐敗しやすくなる。そのことはつまり、雹害を受けた葡萄畑にもこの腐敗のリスクがあるということを意味する。


感染

 この伝染性の病気には沢山の寄生者が存在する。ブドウの実の中の寄生者と密接に関連している。まず間違いなく挙げられることは、酢酸性の酵母とヴァクテリアが、果肉の細胞の有機物を変化させ、かつさらに、ショウジョウバエが卵を生み、幼虫の生育させることである。さらに、ネマトード(線虫)の影響も挙げられるだろう。

 一般的に酢酸性の酵母とヴァクテリアは、収穫の際に清潔なブドウの中に見つけられる。この微生物は、冬の間は土中に過ごし、ブドウが青い内は姿を顕さない。塵や昆虫に運ばれてブドウの白粉の中までやってくるが、Véraison(色付き)が終わってからのみである。昆虫の中でも、特にショウジョウバエは、脚でこれらの微生物を運び、排泄物と一緒にブドウの上に残して行く。酵母の90%近くはこれらの菌、特にKloeckera apiculata種による。菌類、乳酸ヴァクテリア、酢酸ヴァクテリアはこの自然の細菌叢の中に含まれる。酢酸に冒されたブドウは、Kloeclera apiculataの他にも、普段はあまり多くない酵母(Metschnikowia pulcherrima,Candida diversa,Candida stellata,Pichia membranaefaciens)も含まれ、酢酸エチルとアセトアルデヒドをつくり出す可能性もある。酵母の他にも、酢酸ヴァクテリア(Gluconobacter sp.)や乳酸ヴァクテリアから原因を見いだせる時もある。これらの細菌類はブドウの糖分のある場所に入り込むとすぐに活発に活動し始める。これらはある種の発酵を引き起こしながら、ブドウを変質させ、酢酸を生み出す。

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ショウジョウバエ。驚くべき繁殖スピードで増える。ちなみに、グラスにこの蝿が入ると、ワインの味わいが極端に落ちるので要注意!

 ショウジョウバエ(Drosophiles)は、ブドウ滓、澱の堆肥、傷ついた果実に大量に発生してたかる蝿である。黄褐色で、腹は黒く、眼は赤い。膜翅を持つ。雌は2.5-3mmの大きさで、雄は雌よりも少し小さい。(ブドウや果実の)発酵を換気し、そこから養分を採り、卵を産みつける。果実の周りを動き回り、綺麗なブドウの上に酵母や細菌を排泄物と一緒にまき散らす。
 ブドウの実に裂け目が出来たり、傷口から液体が流れたりすると、ショウジョウバエは大量に発生し、卵を産みつけ、急速に増殖し、倍増する(雌はその短い一生のうちに、500から900個の卵を生む)。1-3日後に生まれる幼虫は、果肉の中で、三つの形態へと変化する。もしも適切な天候の下であれば、10-12日後には新しい世代が誕生する。ショウジョウバエは指数関数的に増殖する。このように絶えず、無数に増える蝿は酢酸を伴う微生物を大量に感染し、拡大させる危険性をはらんでいる。
 ブドウ畑に現れ、酢酸腐敗を起こすショウジョウバエは二種類存在する。Drosophylla melanogasterとDrosophylla simulansである。これらの蝿は果実の中で生育し、夏の間は果樹園で過ごし、その後にブドウ畑にやってくる。Mouche des fruits(日直訳;果実蝿、英:fruit fly)とも、Mouche du vinaigre(日直訳:ヴィネガー蝿)とも呼ばれる。
 これらの蝿のみが、酵母とヴァクテリアを媒介するわけではない。ブドウの実に排泄物と一緒にそれらを残すネマトード(線虫)もその媒介者である。裸眼では見えない、各種のネマトードは、酢酸腐敗した実の皮に発見できる。Turbatrix aceti種が、南部のブドウ畑の品種においてよく見られるネマトードである。イタリアでは、Panagrellus zymosiphilusと名付けられたヴィネガー線虫が、ヴェローナ地区のブドウ畑でしばしば発見される。

 感染は、ショウジョウバエが酵母とヴァクテリアを皮においた時点から始まる。そして酢酸を発生させるアルコール発酵を引き起こす。暑く湿気の多い天候であれば、傷ついた実に集まってきたショウジョウバエが次々と増殖して、微生物を次々と運び、感染は爆発的に増える。感染は、雨がなく、湿気のなくなった期間に停止する。

http://fr.wikipedia.org/wiki/Fichier:Drosophila_melanogaster_-_side_(aka).jpg
(ショウジョウバエの写真参照)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Fichier:Ascaris_lumbricoides.jpeg
(ネマトードの写真参照)


発症しやすい畑

 酢酸腐敗はしばしば、暑く湿気がちで、傷ついた実のある、同じブドウ畑にて発生する。
 傷跡:ブドウの皮の傷跡に、養分が流出し、微生物の活動において有利な条件が整う。過剰な水分によって繊細な皮が裂けて小さな傷がついたり、雹によって傷ついたり、ウドンコ病による傷、ハマキガによる傷、蜂による傷などが考えられる
 品種ごとの感受性:かかりやすい品種は、実がギッシリつまっているためCarignan,Grenache,Muscatなどで、皮の薄いCinsaultや、またそれとは違った理由から、ChardonnayやPinot系品種も挙げられる
 樹勢の高い畑:ブドウがよりぎっしりとつまっていて、実が傷つきやすく、葉も多いため湿気がたまりやすい
 気候条件;雨期で暑い時期のブドウに湿気の溜まりやすい夏場に起こりやすい。湿気の高いもとで、端の樹に蝿がたかりやすく、病気になりやすい。
 ブドウのエクラリッサージュ:地面にブドウの実を落としたままにしておいても病気が発生しやすくなる

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腐敗末期状態。実はオレンジ色に変わるか、水分が抜けてカラカラになる。そして悪臭を放ち、周りにはショウジョウバエが飛び交う。


病気を防ぐためには

 畑の樹勢を減らすことが肝心で(カヴァー・クロップなど)、ブドウの換気をよくする必要性(きちんとした整枝、実のなる部分の適度な除葉)がある。そして、ベト病とウドンコ病をしっかりと防ぎ、ハマキガなども除く必要がある。


発症後措置のために

 銅散布;実の皮と傷跡を固める。なかなか効果的で、50%-60%の成功率がある。色付きの頃、ブドウの房にボルドー液を10-12日の間隔で2-3回撒く。量は少しづつ減らす(15kg/ha,10kg/ha,7-8kg/ha)。
 殺虫剤:これだけで効果的であるわけではないが、ショウジョウバエの成虫が現れると同時に行ない、1週間後にもう一度行なわなければならない。ショウジョウバエはすぐさま抗体を備える習性があり、殺虫剤の種類は色々混ぜなければならない。Deltaméthrine(DécisもしくはPearl)、Lamba cyhalothrine(Karaté)を使う。
 
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   腐敗した実を潰すと、オレンジ色に変色した果梗が残る。腐敗した実を取り除かない限り、酢酸が残る危険性が高まるために収穫の際に必ず除かなければならない


総括

 Mildiou(ベト病)やOïdium(ウドンコ病)はどちらかと言えば収穫量に影響を与える病気であるが、このPourriture Acide はワインの品質に影響を与える病気である。
 腐敗した実が混入することにより酢酸量が増え、かつ揮発酸の値も増える。これを防ぐためには亜硫酸を加えなくてはならない。勿論、今日の醸造技術をもってすれば、マストが酢に変わるということはありえない。しかし、限りなく自然なワイン造りをしたい造り手にとって、この腐敗は絶望的である。亜硫酸の量を減らすということは、ヴィネガーを造るリスクと、揮発酸の高いワインのリスクと隣り合わせだからである。
 大切な事は栽培段階において防除をしっかりすることと、収穫の際に徹底的な選果をすることである。防除といっても、年ごとにバラツキがあり、収穫期にこの病気が如何に残っているかで、栽培時の力量が問われる。







[ 2011/09/30 03:39 ] 栽培 | TB(0) | CM(1)

Bourgogne 2011年の畑の観察報告

5月、「水不足」。 そして、8月、「もうこれ以上、雨が降らないように祈っています」。

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Bourgogneを離れて早、9ヶ月。
2年と3ヶ月の間過ごした、かの地で経験したことはこの身に強く刻みこまれている
造り手との交流、葡萄畑を歩き回った記憶、雨の中での畑仕事の日々...
葡萄が実り、ワインへと昇華される、その行程を最初から最後まで見続けてきた体験は、私の心にずっと残っている
そんな過去を思い出しつつ、今、現在、この地で起こっていることを再確認したく思った
Bourgogneの2011年に何が起こり、そしてどんなヴィンテージになるのだろうかという発見の為に
8月16日から18日にかけて、畑をつぶさに観察したリポートを届ける



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Gevrey-Chambertin Premier Cru Clos d'Issart。Pinot Noirでも収量の多い実である。

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Gevrey-Chambertin Premier Cru Clos des Ruchottes。バランスのとれた葡萄の実。とても美味しい。

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      Chambertin。

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Morey-Saint-Denis Premier Cru Clos de la Bussière。除葉作業による腐敗予防をしている。病気は少ないが鉄分が不足ぎみ。

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Chambolle-Musigny Premier Cru Les Amoureuses。ぎっしりと詰まった実。

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今回、Pinot Noirの多くの畑で見られたのが、この鉄分不足に伴う早い紅葉化。初春の強い日差しが、葡萄の成長を加速しすぎた顕われなのだろうか。

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一瞬の油断。7月までずっとベト病の兆候はなかったの対し、8月の雨で一斉に吹き出した。ほとんどの造り手は夏休みのために防除できなかった。しかし、樹の上部が腐敗したのみでそれほど対した被害ではない。再度ロニャージュしてベト病のついた葉を除く造り手がチラホラ見られた。

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      Richebourg、今年にDRCがSur-Greffageして、植え替えたパーセル。

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Romanée-Conti。La Tâcheよりも少し甘い印象を受けた。今の所、去年より腐敗が少ないようだが。

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La Tâche。長い間、放置されていたパーセルにとうとう植樹したようだ。

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Nuits-Saint-Georges側のAOC Bourgogneのパーセル。去年の霜で収穫が激減した場所。ソーヌ断層が走る畑の大半の樹が枯れ、そのほとんどは去年の暮れ・今年の春になって植え替えられた。

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Nuits-Saint-Georges。Prémeaux側の畑。小ぶりの実が多く、葡萄も甘い。

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今年は、太陽の強すぎる日差しを受けて、急速に干し葡萄と化した実を非常に多く目につく。暑い春の影響である。

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Nuits-Saint-Georges Premier Cru Clos des Corvées。腐敗の多いパーセル。勿論、ビオディナミの造り手は、腐敗が多いが、去年より多い気がした。

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Volnay Premier Cru Santenots。樹勢が弱い畑。

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      Meursault Tessons Clos des Mon Plaisirs。ぎっしりと詰まった実。酸が強い。

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Meursault Premier Cru Perrières、ミルランダージュの多さは今年は平均的。去年ほど多くもないが、少なくもないといった恰好。造り手によってまばらな気がした。というのは、今年は早い開花だったのと、結実の期間が短かったことが理由であるようだ。2010年は2週間〜3週間かかった結実が、5日〜1週間で終わったことがその差異を生んでいる。


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Puligny-Montrachet Premier Cru Combottes、やや水ぶくれ気味なのは、ここ数日間に大量の雨を吸ったため。この造り手は収穫が早めなので、収穫の前後の天候が、非常に鍵になりそうである。病気は全くなく、健康そのものである。

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      Puligny-Montrachet Premier Cru Clos de la Mouchère。

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Chevalier-Montrachet, Domaine d'Auvenay。今年のLeroyの畑は、収穫量がとても多い。白も赤も他の造り手並の量の実を観察できる。

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Montrachet。小ぶりの実が多く、ミルランダージュも多め。多分、ウィルス性のものによると考えられる...。少しだけ雹の被害もみられる。

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Saint-Aubin,Premier Cru En Remilly。丘の下の畑に比べ、実が締まって、小ぶりである。これは斜面上部の畑の排水性の高さに起因する。

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Chassagne-Montrachet村。すこし雹の害を見受けられるものの、概ね綺麗な状態である。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru Caillerets。

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破裂した葡萄の実。恐らく、雹による傷が原因と思われる。また水分過剰のために水ぶくれして破裂した実もあると聞く。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru Caillerets。鉄分不足のクロロースが多く発生した年である。クロロースになりやすい造り手はだいたい決まっている。これは石灰の多い場所に適した台木が使われていないためであると考えられる。

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      ウドンコ病も発見。今年は稀な方。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru La Romanée。動物の害を防ぐためにネットを被せている。

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Chassagne-Montrachet Premier Cru Les Cardeuses。去年は壊滅的な雹害を受けたが、今年は(今の所)、問題のない様子。ただ、成熟に遅れが見られて、色付きがまだ終わっていない実を多く発見した。

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Santenay Premier Cru Grands Clos Rousseau。素晴らしい状態。今年の収穫はよくなりそうだ。

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Bouzeron。大粒の雹の塊が葉を貫いて、実に傷をつけた様子が見て取れる。この村は今年、雹の被害を多く受けた。傷付けられた葡萄の実は腐敗が始まり、収穫量が激減してしまった。

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Rully Premier Cru Grésigny。最も深刻で、壊滅的な雹の害を受けた。Rullyを中心に覆った雹害は、一級畑のある丘のゾーンに集中している。しかし、村の中心の小高い丘の上の城から東の畑の損害は少なく、一級畑でも南東側のMeix-Cadotの当りは被害が少なそうである。


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      Mercurey,Premier Cru Champs-Martin。雹の害は全く見られず、素晴らしい畑の状態。



この記事を書いている8月27日の時点で、Bourgogneではすでに収穫が開始されている
25日にCrémantが、26日にはPuligny-Montrachetの収穫がスタートしたというから相当な早さだ。
勿論、4月の早い開花から、収穫が早くなることは十分に予測されてはいたが、夏の涼しい天候が、収穫期を遅らせた。
2007年よりも少し早めの収穫で、2003年に次ぐ8月の収穫となった。

1-3月 暑い冬。雨もほとんど降らなかったようだ。
4月 相変わらず暖かい天候でのDébourrement(発芽)。
5月 速やかなFloraison(開花)とNouaison(結実)。暖かかったが、少しだけ結実期に雨があったようで、適度なミルランダージュが起こる。
6-7月前半 乾燥した春、初夏。Grillure(干し葡萄化)の発生。少しながらOidium(ウドンコ病)が発生したが、防除は概ね成功。
7月後半-8月 雨が集中的に降った。Côte de Beaune南部から、Chalonnaise北部にかけて、雹が降り、BouzeronとRullyは酷い被害を受けた模様。Mildiou(ベト病)がBourgogne中に大量発生したが、損害は少ない。

収穫直前の雨。
腐敗する前に、如何に沢山の実を集められるのか、ということに焦点が絞られているようだ。

Bourgogneの生産者の健闘を祈りたい。

P.S.: 今回の取材にあたって、同行していただいた栗山朋子さんに、お礼を申し上げます。畑における正確な観察と、的確なるアドヴァイスをしていただきました。Bourgogneで、良い収穫ができることを祈っています。




[ 2011/08/27 22:43 ] ミレジム | TB(0) | CM(3)

Visit Report;30 Domaine André Ostertag

「酸化を防ぐために亜硫酸を使った方が、より一層綺麗なアロマを残す事ができる。それは、そう、まるで月の光のようなものだ」 André Ostertag

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   MuenchbergからHeissenbergの丘を眺める。いずれもNothalten村を代表する畑である

Alsaceにはアーティスティックな造り手が多い。
ワインというものの芸術性をとてもよく理解しているからだ
Albert MannやMarc Kreydenweissなど多くの造り手が、各々のワインのラベルに画家を起用しているもその一例である
André Ostertagのワインのエティケットも例にもれず、Ostertag夫人が描いている
テイスティング・ルームには数々の絵画で飾られ、まるで美術館に入ったかのようである

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さて、芸術的な趣向の他にも、自分たちの職場の管理意識も非常に高いようである
Domaine内には近代設備を施したカーヴを持っている
温度調整が完備され、常に14度の室温が保たれるという
膨大なオールドヴィンテージのコレクションをその完璧なカーヴに安置しているのだ


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           「湿度がとても重要で、カーヴの温度が変化しないでいることがとても重要だ」

栽培に関してはビオディナミとはいえ、極端な自然志向ではなく、あくまでも理にかなったアプローチをとっている
軽いフィルターがけを行ったり、亜硫酸を添加することをはばからない
「Marcel Lapierreはよく知っているし、彼のワインも素晴らしいと思う。彼の古いワインには、素晴らしく感動させられたものだ。ただしその感動は、四本に一本の割合であり、残りの三本は劣化していることが多かった。こういうワインの在り方は私は求めてはいない」
「酸化を防ぐために亜硫酸を使った方が、より一層綺麗なアロマを残す事ができる。それは、そう、まるで月の光のようなものだ。ワインの味わいを失わないように、損なわないように、アロマを留める作業に亜硫酸が必要になる」
彼のワイン造りのフィロソフィーは、必ずしも芸術性のみに走っていないように感じる
理性的なワイン造りの在り方を決して捨てていない
そして誰からも賞賛されるワイン造りをモットーとしているようだ


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   Domaineの敷地内に植えられた畑で、一際目をひくのが、ワイヤーのなかった時代の伝統的な棒仕立てで植えられた畑。上空からみると陰陽の太極図の型になるという。この畑の真下に、最新の近代型カーヴが建築されている。

彼の信念として、長期熟成を目指したワイン造りというのがある。
今回テイスティングした、'88年がとても綺麗な香りと味わいを残していたように、亜硫酸の添加が重要なのだろう

「最近の若い造り手は亜硫酸を下げようという努力をしている。しかし行き過ぎはよくない。」

あくまでも極端な「自然」に走るわけではなく、中庸の立場でワインを造ろうとしている様子が垣間見れる

長期熟成を目指す上で欠かせない収量であるが、だいたい約40hl/haの割合であるそうだ
さらに昔はもっと少なかったそうだ
少なすぎて採算があわなかった時期もあったそう


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醸造長、Hubert Mattis。自ら改造した、特製の農薬散布用車と共に。畑になるべく重量をかけたくないという意図が見て取れる。

昔は、ボトリティス果を入れていたが、最近では、ボトリティス果の混入による、ワインのアロマの繊細さが殺されているような気がするようになった。ボトリティス果はワインの中のテロワールを殺してしまうという
だから近年の収穫は早めになっている

ちなみに近年のヴィンテージの傾向をAndréに聞いてみた
'10はリンゴ酸がとても多くて、その分MLFをすると乳酸が強くなりすぎる。乳酸が強くなりすぎたワインは、バター香が強く出過ぎて好みでないために、MLFの割合を抑えるように努めた
'09はとても強いヴィンテージ。暑いヴィンテージではあるが、'03のようにバランスを崩す事はなかった
'08は酸味の主張が強い。'09よりも弱いかもしれないが、熟成能力は申し分ない。

「MLFはもしも、ブドウが完熟していた場合は、起こっても起こらなくてもたいした違いはでない。古いスタイルのAlsaceワインやドイツでは、MLFはタブー視されているが、私は自然のまま為すようにしている。しかしMLFが起こりすぎて、ワインのアロマを損なうようならばフィルターをかけてそれを止めてやれば良い」

MLFに関しては、あまり肯定的ではないようである


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   Domaineの裏の自社畑


さて小樽はBourgogneのDamy社を使用している
樽が100種類あると言う
Pinot系品種(Blanc,Gris,Noir)は樽発酵、熟成
「Pinot Blancは第一アロマが少ないので、第二アロマたるカーヴでの高い仕事が必要」

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           最新型カーヴに安置された旧式発酵槽。ただし、これは飾りである。





Dégustation (en bouteilles)

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    不惑。壮年に達したAndré氏の言葉一つ一つには迷いがなく、自分のワイン造りについて自信に満ちあふれている。


Sylvaner V.V. '10: リンゴのキャンディー、よく熟した果実。グラマラスで、果実味を前面にだしたSylvaner。鋼のようなボディで、リッチに仕上がっていて、ガストロノミーなSylvaner。とても澄んだワイン。Frankenのワインに喩えるならば、Weingut Horst SauerのLumpのようなタイプ。

Riesling Clos Mathis '08; とてもフローラルで、澄んだミカンのジュース。上品なタッチで、柔らかいワイン。綺麗な酸が印象的である。柚子風呂から立ちこめる甘酸っぱい温泉街のイメージ。醸造長Hubert Mathisが所有しているRiveauvilléの畑から生まれるワイン。花崗岩とその兄弟に当る片麻岩に、粘土の混じった土壌。「最も古典的なRieslingに仕上がっている」

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         Clos Mathis。Ribeauvillé村のJean Sippの畑のすぐ下に位置している。


Riesling Fronholz '09; みかんの皮、スパイシー感。味わいの深さがあり、濃く、ネットリ感もある。とてもマッチョ。苦味成分を強く感じ、まだ安定していない。Epfig村のFronholzの丘の頂上部に当る。砂と石英の土壌。「素晴らしいヴィンテージで、今飲むには早い」

Riesling Fronholz '08: グレープフルーツ、より繊細なアロマ。もっとエレガントで、柔らかいタッチ。苦味もあるが、それが程よく感じられる。「石英はシレックスにも通じる面がある」という。

Riesling Heissenberg '08 ミネラルで、ミカンそのままのアロマ。複雑ではなく、雑味を取り払った、純な果実。ネットリとした味わい。Nothalten村の砂岩と花崗岩の地質。Muenchbergの横に聳えるもう一つの三日月の丘。

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   Muenchbergのちょうど南側にの谷間、Heissenberg

Riesling Muenchberg '09; ライム、スモーク、リンゴのボンボン。最も詰まった味わいと強靭さがある。閉じている。「このワインの強さは、'09のヴィンテージの特徴が非常にでている」

Riesling Muenchberg '08: ライムの葉、リンゴのボンボン、'09よりも香りの方が閉じている。味わいは柔らかく、繊細で、フレッシュ感が強い。

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   Muenchberg。OstertagはMuenchbergに数カ所パーセルを所持するが、ここはその中でも最も樹齢の高い畑(約110年)。

Pinot Gris Fronholz '08; 沢庵、リンゴ、バター香、樽香。キャラメルやヴァニラの味わいがあり、強く、神経質な酸味のワイン。小樽熟成で、新樽率25%。「Pinot Grisは酸味と糖分を探すのではなく、脂質を探す」

Pinot Gris Zellberg '08; リンゴ、オレンジのアロマだが、とても繊細。新樽率は先のワインよりも多いにも関わらず、全く樽香を感じない。ピュアだが、厚みのある、はつらつとしたミネラルの味わいは、Bourgogneの白ワインを連想させられてならない。素晴らしい完成度。Nothalten村のMuenchbergに接する東向き斜面の丘。粘土質砂岩質石灰土壌。小樽熟成。「Pinot Grisというのは第一アロマの少ない品種で、第二アロマの顕し方が重要だ」

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   中世から名声を誇ったZellbergの丘。隣のMuenchbergやWinzenbergとは打って変わってウーライト石灰の土壌である。


Muscat Fronholz '08; 甘いブドウの香り、オレンジの花。とても果実の厚みの強いワイン。青さが全くないのは、Musat d'Ottonel100%だからか。「Muscat d'Alsaceは好みではないので、すべて植え替えた。私が造っているのは、アロマティックなだけのMuscatではなくて、テロワールを顕したMuscatを造っている。15年は熟成できるMuscatだよ」MLFは行っていない。

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         Muenchbergの開花。

Riesling Muenchberg '88 ; ミネラルだが、果実がしっかりと残っている。レモンそのままの香り。太古のアロマ。味わいは深みがあり、森や土の印象が消えない。「ペトロール香ではない。私のRieslingはペトロール香がでないワイン造りをしている」

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   手前のボトルは新ラベル。'10から各畑ごとに異なったエティケットを採用することになった




葡萄畑の土壌


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Muenchbergの火山性砂岩。砂状になった地質が多い。砂地であるから排水性に富み、ワインは軽やかに、フルーティーになる。他のクリュと比べれるとすれば、Guebwiller村のKitteréやKessler、AndlauのWiebelsbergなどに近い性質を持つのだと考えられる。それらはいずれも、Rieslingに適しているとされる土壌である。

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Heissenbergの花崗岩。その周りは砂岩の欠片が散らばる。南のRodern村からずっと続いていたピンク花崗岩のあるゾーンの最も北の端にあたる畑。砂岩と混じった丘で、葡萄が熟しやすいようだ。同じような畑は、Ammerschwihr村のKaefferkopff。


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Zellbergのウーライト石灰。Côte de Nuitsと同じジュラ紀の地層であり、どうしてここのPinot GrisからBourgogneのChardonnay的なフィネスが得られるのが理解されうる。Pinot Grisは遺伝的にもアロマ的な意味からも、Chardonnayに近い品種である。


Conclusion

彼のワインにはよく煮詰めて、コンポートやキャンディーに仕上げた果実の香りがする
とくにオレンジ系の香りが顕著で、ワインの果実味を非常に大切にしている造り手なのだと見て取れる

強い果実とクリーンなプロポーション。
そしてあくまでも辛口なワインで、熟成も可能という、素晴らしい造り手である

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     6月27日、Muenchbergの葡萄の状況。比較的ミルランダージュが見られる。
[ 2011/07/18 00:32 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(0)

Visit Report;29 Domaine Meyer-Fonné

「マロラクティック発酵が起こらないように望んでいる」Félix Meyer

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       Félix Meyerとその家族、子供は三人

今年のAlsaceは暑い。
Alsaceどころか、France中暑くて、日焼けしそうだ
実際、Franceでは深刻な水不足に直面している
こんな暑い気候の下では、人は酸味のあるものを求めるようになる

ところで、ワインの中には六種類の酸味が存在する
酒石酸、乳酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、そしてリンゴ酸。

こんな暑い時に欲しくなるのは、リンゴ酸のスッキリとした味わいである
レモンのジュースをそのまま飲み込んだような、ミントを食したときのような爽快感。
喉を突き抜け、胃にまで達した後、脳天まで駆け上がってくるような、爽やかな味わい。

基本的にAlsaceワインは、リンゴ酸がとても豊富である
しかし、今日の新しいスタイルの造りでは爽快感よりも、濃密感や熟成を求める造り手が増えてきている
Olivier Humbrechtに代表される改革派は、Alsaceワインの乳酸発酵をすすんで行なおうとする

しかるにこのDomaineの当主、Félix MeyerはOlivier Humbrechtとも親交が厚い若い造り手の中でありながら、伝統的手法を頑なに守ろうとする
伝統的手法とはつまり、Rognage、短い醸造期間、そして乳酸発酵を行なわないようにすること、である


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  整備されたカーヴ

Katzenthal村の造り手で、13haの畑を所有する

家族経営で、従業員は3人。
収穫は約3週間でその間の収穫人は20人
勿論、すべて手摘みでの収穫。


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ステンレスタンクと大樽を半々の割合で所有する


畑でTressage(枝先をワイヤーにまきつける作業)を行わないで、遅めのRognageを行う
Rognageとはブドウの小枝の成長点を切る作業である
この作業により、酒石酸の増加をストップできる

(第一次)アルコール発酵期間が短く、12月中には終了する(Bourgogneのように短い)
エレヴァージュ期間は短めで、大抵のキュヴェは春(4-5月)に瓶詰めし、特級は収穫前の8月-9月となっている。
つまり、短いエレヴァージュによって、第二次発酵の危険性を避ける
もともと少ない酒石酸の状態で、乳酸発酵を行なってしまうと、ワインがチーズ臭くなってしまうからだ。
力強さよりも、ワイン本来のフレッシュ感を残すことを求めた造りなのである


Dégustation (En Bouteilles)

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Pinot Noir Reserve '09; 赤黒い色調。赤果実、飴、蜂蜜。コッテリ感、豊満なワイン。近くに畑を持つ、Laurent Barthと同じような脂質がある(同じDujacの樽)。80%Bennwihr,20%Katzenthal。手による除梗。

Pinot Noir élevée en piece '09; ジャミー、赤果実、蜂蜜、バター、フレッシュで、バランス良い。うすく、長い

Pinot Blanc '09: 優しい果実味。花。還元っぽさもある。酸味が強く、非常にクリーン。Pinot BlancとAuxerroisのブレンド。

Muscat '09: レモン水、カシスの芽。アロマの大人しさと打って変わって、口の中で強い果実味が弾ける。暑い年にも関わらず、強い酸。Muscat d'AlsaceとOttonelのブレンド。

Riesling Reserve '09: 果実味は少なく、ミネラルが強い。薄い香りの印象と一転して、強い骨格を持った味わい。Riquewihr村の畑。

Riesling Vignoble de Katzenthal '09; 緑色のレモン、St-jOSEPHを喚起させるワイン。凝縮感。とてもフレッシュで、優しい味わい。Wineck-Schlossbergの若いパーセル(城の近くの南向き)が1/3、Florimontの横のパーセルが2/3。

Riesling Pfoeller '08: 色調がやや濃くなっている。ミネラルの強さ。芯がしっかりとして、強く美しいプロポーション。味わいこそ違うものの、Puligny-Motrachet的な輪郭を感じる。コストパフォーマンスの高いワイン。Sommerbergの横の、東向き斜面の畑で、ムッシェルカルク(Muschelkalk)紀の石灰地質。

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  特級Sommerbergの花崗岩地質と特級Florimontのジュラ紀粘土質石灰地質の間に突如として顔を顕せる三畳紀ムッシェルカルク紀の石灰地質。Félix曰く「Clos Saint Huneと同じ地層なんだよ」

Riesling Shoenenbourg '09: 花の香り。ミネラル。この畑の特徴をしっかりと表した軽すぎないアロマ。骨格がしっかりとしている。少し荒さが残るのが残念。2007年よりこの畑を所有。

Riesling Wineck-Schlossberg '09: 鋭角で、重みのあるミネラル。鋼のように強い。強い酸味。やや若い。香りに比例して甘さが強くなる。

Riesling Kaefferkopf '09: スパイシー、レモン・コンフィ。フレッシュで、みなぎるエネルギーを持っている。酸も強いが、最も複雑。(砂岩質粘土質石灰土壌)

Riesling Wineck-Schlossberg '08; ベルガモット、アールグレイ。爽やかな甘さ。常に残る強い酸が、このワインを甘いだけの平坦なものにしていない。Moselに通じる、ミネラルの響き。

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Grand Cru Wineck-Schlossberg。「二種類の雲母を含む花崗岩」の地質。Wineck城近くの畑は樹齢が低い為に下のキュヴェ用にブレンドされる

Pinot Gris Reserve '09: アロマが少ない。とても淡いエクスプレッション。しかし、味わいは深く、厚く、伸びやかである。ほんのりと甘く油脂が強い。リンゴのアフターフレーヴァーで、キノコの香りは見られない。

Pinot Gris Dorfburg '07:果実。よく熟して、リンゴやシードルのようなアロマ。半甘口の仕立て。Florimontの裏の西向き斜面で、Pfoellerの横の畑。石灰質地質。

Pinot Gris Dorfburg '08; 貝殻を連想させる強いミネラル。キノコ、アプリコットの香り。リッチで厚みがありながら、綺麗な酸が全体を支える。

Pinot Gris Hinterberg '09: ミネラル、高貴なキノコ、とても熟している。Sommerbergの反対の山で、Katzenthal村に面した北向き斜面の丘。

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Hinterbergの丘は村を挟んでWineck-Schlossbergの対岸に位置する北向き斜面の丘

Gewurztraminer Dorfburg VV '09: 焼いたライチ、スパイス。甘さを感じるアロマで、よく熟している。フレーヴァーよりも甘さが先行している。

Gewurztraminer Kaefferkopf '08: エピス、それも甘いエピス(スターアニス、シナモン...)。キャラメル。丸みがあって、エレガント、とても、複雑味に富み、偉大な体躯を持っている。優しい甘みがあって、苦味はない。

Gewurztraminer Wineck-Schlossberg '09; バラの香り。甘いバラ、ライチっぽさもあるが、軽やか。強い酸味が、味わいのバランスを保っている。とても綺麗な女性的ワイン。

Gewurztraminer Furstentum '08; 柑橘類、オレンジの皮。甘み、厳しさ、強さ。とても甘いが、やはり、スッキリとした酸味が根底を支える。

Gewurztraminer Sporen '08: カリン、沢庵、果実のコンフィ。甘く、苦い。ややバランス悪い。

Riesling Pfoller VT '07: 整ったミネラル、甘さ、重さ。フレッシュ。

Pinot Gris HInterberg VT '07 :果実味が強く、グラマラス。とても均整のとれた体つきで、全く瑕のない麗しい姿。

Gewurztraminer Wineck-Schlossberg VT '08: バラ、アールグレイ。甘ったるく、糖分が多い。Boxlerに通じる味わい。

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      Wineck-Schlossbergの中のGewurztraminerのパーセル。南向きの急斜面。


Gewurztraminer Dorfburg SGN '05: アプリコット、ビターな香り。とても凝縮した香りで、味わいは非常に強い。糖度、140g。

Gewurztraminer Sporen SGN '07: レモンアイス、角砂糖、バリ島の冷たいエキゾチックフルーツ。複雑で、トロミのある深い深い味わいの主張。甘口になって初めて、写し出される、その麗しさ。糖度、200g。




Meyer-Fonnéのワイン全体の特徴として挙げられるのは、その冷たく澄んだ酸である
酸味の美しさは、ドイツのMoselやNaheを思い起こさせる、とても上品なものである


Rieslingは、典型的なレモンの香りが強すぎず、常にフレッシュな酸が後味を締める。
上品な優しい辛口の酸を求める人の為のワインである
Pinot Grisは比較的、甘さを残したワインであり、爽やかな酸がバランス感を与える。

しかし、この造り手の中でも特筆すべきはやはりGewurztraminerであろう
各テロワールごとに異なったキャラクターを示し、異なったアロマを持っている
本来Rieslingに向く花崗岩地質のGewurztraminer(Wineck-Schlossberg)がとても素晴らしい出来であったことにはとても感動させられた
ただアロマだけが突出するわけでなく、麗しい酸が支えてくれる

TrimbachやHugelが頑なに続けている、伝統的醸造の延長であり、伸びやかな酸味を持ったワインがこの造り手にはある
非常にコストパフォーマンスの高い造り手である、と追記しておく。

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[ 2011/06/29 06:06 ] VR(Visit Report) | TB(0) | CM(0)